2024年4月24日(水)

前向きに読み解く経済の裏側

2018年10月22日

 彼(女)がサラリーマンである親の扶養家族であった場合には、それまで親の健康保険でカバーされていたのが、今度は自分で健康保険にも加入しなければなりませんから、ラフな計算ですが毎年6万円ほどの負担増となります 。

 その場合には、厚生年金に加入してもしなくても、年間の社会保険料に大きな差はありませんが、老後の保証が手厚くなることを考えれば、やはり社会保険に加入しておいた方が良いでしょう。ちなみに、細かいことですが、社会保険料を支払うと所得税や住民税が少し安くなりますから(所得税などの計算の際、社会保険料が所得控除となるため)、そこまで考えれば、やはり得なようです。

非正規と非正規なら結婚して片方だけが社会保険に加入する選択肢も

 非正規労働者の中には、「金がないから結婚できない」という人が多いですが、それは違うと思います。1人暮らしの非正規労働者は、結婚して2人で住めば、アパート代も電気代も半分近くに減るでしょう。もちろんこれは、結婚したい相手がいる場合、あるいは婚活を始めようか否かを迷っている場合の話であって、「好きでもないのに社会保険料のために結婚する」ということまでお勧めするわけではありませんので、あしからず(笑)。

 そして本稿の本題である社会保険料に関しても、結婚が得なのです。2人とも勤務先の社会保険に加入していないと、2人とも国民年金保険料と国民健康保険料を納める必要がありますが、片方が勤務先の社会保険に加入し、配偶者が扶養家族となることで、2人の合計の社会保険料が1人分で済むことになります。これは、かなり大きなメリットと言えるでしょう。

 そのためには、夫婦のどちらかが上記の条件を満たして社会保険に加入することが必要です。たとえば2人とも現在の年収が129万円である夫婦であれば、130万円と128万円の収入になるようにすれば良いのです。

 自営業者や失業者の専業主婦は社会保険料を自分で納めなければならないのに、サラリーマンの専業主婦だけは夫が厚生年金保険料を給料から天引きされたことで自分も国民年金保険料を支払ったものとみなされますし、夫の健康保険に扶養家族としてカバーされるのです。これは、制度としては不公平でケシカラン制度ですが、制度がある以上、それを賢く利用することは悪いことではありません。せいぜい利用しましょう。


新着記事

»もっと見る