ちょいとお江戸の読み解き散歩 「ひととき」より

2018年11月23日

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牧野健太郎(読み解き) (まきの けんたろう)

ボストン美術館と共同制作した浮世絵デジタル化プロジェクト(特別協賛/第一興商)の日本側責任者。公益社団法人日本ユネスコ協会連盟評議委員・NHKプロモーション プロデューサー。浅草「アミューズミュージアム」にてお江戸にタイムスリップするような「浮世絵ナイト」が好評。

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近藤俊子(構成/文) (こんどう としこ)

編集者。元婦人画報社にて男性ファッション誌『メンズクラブ』、女性誌『婦人画報』の編集に携わる。現在は、雑誌、単行本、PRリリースなどにおいて、主にライフスタイル、カルチャーの分野に関わる。

[執筆記事]

 大阪の堂島米会所(どうじまこめかいしょ)は江戸幕府公認のお米の取引所でした。その熱い取引の様子を描いたのが、歌川広重さんの「浪花名所図会(なにわめいしょずえ)」シリーズの1枚です。ところで、柄杓(ひしゃく)を持った人たちは何をしているのでしょうか。

歌川広重「浪花名所図会 堂じま米あきない」
Photograph © 2018 Museum of Fine Arts, Boston. All rights reserved. William S. and John T. Spaulding Collection,1921.21.9436

世界の先駆けとなった商品取引所

 歌川広重さんが「浪花名所図会 堂じま米あきない」を描いたのは天保元年頃(1830年代)。シリーズ10枚のうちの1枚です(①)。寛政8年(1796)頃に刊行された観光案内書「摂津名所図会」を参考にしたといわれています。広重さんは、有名な「東海道五十三次」のほかにも、上方名所絵シリーズ「京都名所之内」や「近江八景之内」、日本全国を描いた「六十余州名所図会」など多くの場所を描いています。

 さて、ここは浪花の名所「堂島」。現在の大阪駅から南に1キロメートルもない大阪のど真ん中、大阪市北区堂島浜1丁目。目の前に高速道路が走り、真下には地下鉄が通っている場所です。

 すごい人出です。なにやら騒いでいます、喧嘩でしょうか。手をふり上げて、でもつかみ合いはしていません(②)。帳面を持ってにらみ合って、叫んでいます、怒鳴り合っています(③)。

②、③

 お顔は見えませんが、建物の中で几帳面に記帳しているお二人(④)などを含め、ここには総勢74人のエネルギッシュな方々が描かれています。

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