世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年10月31日

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 「イスラム国」は、本年はじめ、イラク北部のキルクークで、偽の検問所を設け、イランの治安部隊を奇襲攻撃した。ディヤラ、サラディンなどイラクの他の地域では、「イスラム国」の潜在細胞がこれらの地域を偵察し、小規模の戦闘員を再組織する前にどのような活動をすべきかを検討している。そして米軍の空爆にも拘わらず、少数の戦闘員がいくつかのシリアの地方都市に潜伏しているとのことである。

 シリアはアサド政権が勢力を回復したとはいえ、全土を支配しているわけではなく、またイラクも基本的に政権が不安定である。このような統治が満足に行われていない様な状況は「イスラム国」のようなイスラム過激派の温床となり得る。

 トランプは、米国等の攻勢で「イスラム国」が領土の98%を失ったことで、シリアにおける「イスラム国」の掃討はほぼ終了すると考えているようでいるが、「イスラム国」の復活の可能性があり、「イスラム国」が小規模ながらテロ活動を再開するようになれば、現在2000人いるシリアの米軍は、当分の間在留することとなり、米国はシリアに関与し続けることとなるだろう。

 中東情勢の動向を決める要因は、サウジによるジャーナリスト殺害疑惑やシリア内戦などをめぐる大国や主要国のパワーゲームが主体となったとはいえ、依然として「イスラム国」の動向からも、まだ目を離すことはできない。

  
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