2024年4月25日(木)

古希バックパッカー海外放浪記

2018年11月4日

観光地のトイレの中国語による使用解説・注意書き

 オーストラリア観光地の公衆トイレでは中国語と絵図で水洗式トイレの使用方法(便座の座り方、水の流し方など)を説明するパネルが設置されているのを頻繁に見かける。急増する中国人観光客によって発生するトラブルに地元行政当局が手を焼いているようだ。

 オーストラリアの人々の話を聞いて、分かってきたのは当然のことながら同じ中国人でも文明水平(ウェンミン・シュイピン=民度)的にバラツキがあるということだ。団体旅行でオーストラリアに来たという“おのぼりさん”には中国での日常生活習慣が自然と行動規範となっており、公徳心や周囲への配慮が欠ける行為がフツウなのであろう。それゆえ観光地のトイレでは中国語パネルが必須なのであろう。

 他方で豪州政府の審査をパスするような知識階層の中国人はオーストラリア社会への順応性を備えているのであろう。

メルボルンの旧財務省ビルの前で記念写真を撮影している中国人カップル

都会育ちの中国のお嬢さんがオーストラリアで農作業?

 12月12日、メルボルンのホステルに投宿。共同キッチンでレタス、ほうれん草、牛肉に唐辛子等の香辛料を入れて火鍋(フォゴウ)を作っている2人組の中国女子に遭遇。四川省成都市出身の大学生で大学を1年間休学してオーストラリアにワーキングホリデーを過ごすためにやってきたという。火鍋は四川省が本場である。スパイシーな火鍋をご馳走になりながら話を聞いた。

旧財務省ビルの地下。19世紀半ばのゴールドラッシュの時代に大量の金塊が保管されていた。金鉱採掘人夫として中国人苦力(クーリー)が流入した

 2人は一昨日成都からメルボルンに到着して市内観光を楽しんで、2日後にタスマニアに移動して農園で働くという計画である。農園では果樹や野菜の選別・梱包をするとのこと。

 成都市は四川省の省都であり人口1400万人、平均年間所得も1万2000ドル弱という大都会である。2人は見るからに都会育ちだ。華奢で色白の2人を見て心配になり「農作業をしたことはあるの?」と聞くと、「大都会で生まれ育ったので農作業の経験は全くない」とあっけらかんと語った。

 オーストラリアにワーキングホリデービザで来る欧米の若者は多いが、彼らの大半はオーストラリアで一稼ぎするのが目的である。最低賃金が時給16豪ドル(約1300円)であり、肉体労働の農作業では時給が2000円にもなる。出来高ボーナスも含めると日給が2万円~3万円という高賃金水準なのである。半年間で数万ドル稼ぐという猛者もいる。

オーストラリアの大都市では中国人が経営する中国人の留学や移民の手続代行や斡旋をするエージェントが繁盛。写真はタスマニア島のホバート市のエージェント

 しかし2人の中国娘の背景や動機は出稼ぎ目的の欧米の若者とは全く異なる。2人の親はいわゆるホワイトカラー(白領族 バイリンズー)で富裕層。無理のない範囲で適当にアルバイトして1年間オーストラリアの生活や観光を楽しむというのが渡航の動機であった。そして将来オーストラリアに移住したいので今回は下見に来たというのが本音であった。

⇒9回に続く

  
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