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2018年11月2日

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マット・マクグラス 環境担当編集委員

米国とカナダの科学者は10月29日、気候変動が高山山頂付近に生息する熱帯の鳥類の絶滅を早めている新証拠を発見したとする研究を発表した。

研究者はこれまでも長い間、温暖化する世界から逃げるため、多くの生物種がより高地へと移動しているのではないかと予測していた。

しかし、既に標高が地表で最も高い地域に生息する生物はそれ以上高くへ行けず、数を減らすのではないかとみられていた。

今回の研究は、かつてペルー高地の山頂近くに生息していた鳥類8種が現在までに姿を消していると明らかにした。

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研究者は特に、熱帯地域の山岳地帯に気候変動が与える影響について懸念している。

論文の筆頭著者で、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学で研究するベンジャミン・フリーマン博士はBBCに対し、「熱帯の山岳地帯は、生物多様性が大きい場所の中で最も暑い地域だ。地球上にある他のどんな場所よりも多くの生物種が生息している」と語った。

「熱帯地域はこれまでより少し暖かくなっただけだが、熱帯性植物や動物は現在、かつてよりも標高が相当高い場所に生息しているようだ」

これらの地域に生息する生物種は、とても脆弱(ぜいじゃく)でもある。熱帯地域における低地と高地の気温差は、世界の他の地域よりも小さいためだ。つまり、高地への移動は、他の地域と比べて熱帯では解決策として効果が薄いかもしれないのだ。

仮説を検証するため、科学者らは2017年、ペルーの市街地から離れた山岳地帯の山頂に生息する鳥類を調査した。

1985年にも同様の調査が行われており、今回の調査チームも同じ場所、同じ時期、同じ方法で調査を進めた。

2度の調査を比較すると、平均して鳥類が生息する地域の標高が高くなっていたことを科学者らは発見した。以前の調査で、最も標高の高い地域で発見されていた鳥類のほとんどは、生息範囲と個体数の双方で大幅な縮小、減少がみられた。

研究者は、最近の温暖化が、鳥類のいくつかを乗せた「絶滅へのエスカレーター」を生み出していると語っている。2度の調査間で、地域の平均気温は摂氏0.5度近く上昇していた。

山頂近くに生息していた鳥類16種のうち、直近の調査では8種が完全に姿を消していた。

「気温が生息条件を左右する主要因だったとすれば、絶滅した鳥類は考えられる限り高いほうへ山を登ったはずだ」とフリーマン博士は述べた。

「30年前に山頂近くで生息していた種は、失われてしまった」

気温上昇により、熱帯のアンデス山脈では、高地に生息する動物や植物の「根絶や絶滅」が広く進み続けるだろうと、論文の著者は警告する。

対照的に、低標高地に生息している鳥類は気候変動で恩恵を受けていることも科学者は発見した。生息地域が広がり、上昇限界は山のかなり上の方まで上がっている。

しかし、現在は高地へ移動できる種であっても、時間と共に選べる選択肢は尽きるかもしれない。

世界の平均気温が今世紀中に摂氏2.6度から4.8度上昇すると、熱帯の生物種は生息地域を500メートルから900メートル上に移さなければならなくなる可能性があると、科学者らは述べる。いくつかの種にとっては、この移動距離は遠すぎるかもしれない。

もう1つの問題は、多くの山で森林が伐採されていることだ。この問題は、生息地を高地へ移動する種の数に限界値を設定する。

「この地域における長期的な生物多様性と自然保護を考えているなら、この過程を無視することは絶対にできない」とフリーマン博士は述べた。

「対処法は、高地の斜面に大きく広がる、保護指定を受けている生息域の回廊を維持することだ」

研究は10月29日、学術誌「米国科学アカデミー紀要」に掲載された

(英語記事 Climate change is 'escalator to extinction' for mountain birds

提供元:https://www.bbc.com/japanese/46028504

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