2024年4月24日(水)

中東を読み解く

2018年11月3日

米、サウジへの圧力強める

 こうした中、疑惑の中心人物ムハンマド皇太子を支持してきたトランプ大統領も議会や国際的な批判にさらされ、またハスペル中央情報局(CIA)長官のトルコ訪問からの報告を受け、サウジ側の対応に不信感を募らせ「明らかなごまかしやうそがある」と批判に転じた。

 この大統領の軌道修正をきっかけに、政権全体がサウジへの圧力を強めるようになった。ポンペオ米国務長官は10月30日、イエメン内戦の反政府フーシ派に対し、サウジへのミサイル攻撃を停止するよう要求する一方で、サウジ主導の連合軍によるイエメンの人口密集地への空爆を停止する求める声明を発表した。

 国務長官はさらに、内戦終結に向けた国連主導の和平協議を11月に開催するよう訴えた。これに先立ちマティス米国防長官も殺害事件について「国際規範と法治を順守しない国は地域の安定を危うくする」と名指しを避けながらもサウジを非難。イエメン戦争に関しても「今や戦争を終わらせるために動くときだ」と言明した。

 米国はこれまで、フーシ派がイランの支援を受けているとしてサウジを支援。直接的に戦闘には加わっていないものの、サウジの空爆目標の情報や武器弾薬の補給など後方支援でバックアップしてきた。ここにきてサウジのイエメン介入に注文を付けるのは明らかにカショギ氏殺害事件でトランプ政権全体がサウジ側に圧力を掛けている表れ、と受け止められている。


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