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2018年11月7日

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6日の米中間選挙で、ドナルド・トランプ大統領率いる共和党が上院の多数を維持する一方、下院では野党・民主党が8年ぶりに多数党に返り咲いた。トランプ政権の今後の政権運営に大きな打撃となったが、トランプ氏は上院での議席増を強調して勝利を喜ぶツイートを連投した。

連邦議員や州知事などが改選対象となった中間選挙で、トランプ大統領自身は投票対象ではなかったが、共和党候補の応援に全米を精力的に遊説して回ったトランプ氏が、選挙最大の争点だった。

民主党は米東部時間7日午前3時前に、下院(定数435)過半数の218議席を獲得した。

民主党が下院で多数党になったことで、トランプ政権が推進する政策や法案、予算措置の成立を阻止できるようになる。トランプ氏が大統領選の最中から目玉政策として公約してきた、メキシコ国境での壁建設などは実現が非常に困難になった。

下院を奪還した民主党はさらに、大統領の納税申告書や、公務と事業との利益相反問題などに関する書類など、トランプ政権が公表しない様々な資料の開示も、これまでより強力に要求できるようになる。

トランプ氏お気に入りのフォックス・ニュースとNBCニュースは日本時間7日午前11時50分ごろ、下院は民主党が奪還するだろうと見通しをツイートした。NBCは下院での民主党の勝率を65%と伝えた。米CNNも日本時間午後1時に、下院を民主党が多数党になったと見通しを伝えた。

一方、100議席中35議席が改選となった上院選では、共和党がインディアナ州、テキサス州、ノースダコタ州などの主要州で勝利し、下院とは裏腹に、議席を増やす見通し。

投票は全50州と首都ワシントン(コロンビア特別区)で行われ、投票率は過去50年で最高になると専門家はみている。

正式な投票率はまだ分からないが、米ABCニュースの出口調査によると、18~29歳の期日前投票は2014年の前回選挙から188%上昇した。

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女性躍進

合計約240人と記録的な人数の女性候補が、今回の中間選挙に出馬した。

ニューヨークでは、29歳のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス候補(民主党)が当選。史上最年少の連邦下院議員となる。

下院ではほかに、民主党からイルハン・オマル候補(ミネソタ州)とラシーダ・タリーブ候補(ミシガン州)がそれぞれ当選。イスラム教徒の女性が初めて連邦議会議員となる。

さらに、民主党からシャリス・デイビッズ候補(カンザス州)とデブラ・ハーランド候補(ニューメキシコ州)がそれぞれ、米先住民女性として初の下院入りを決めた。

デイビッズ候補はカンザス選出で初めて、同性愛者だと公表している下院議員にもなる。

マサチューセッツ州からは、アヤンナ・プレスリー氏(民主党)が同州初のアフリカ系女性として下院入りを決めた。

バージニア州10区では民主党のジェニファー・ウェクストン候補が共和党現職のバーバラ・コムストック氏に勝利。フロリダ州27区でも、民主党のドナ・シャララ候補が共和党のマリア・サラザール候補を下して議席を奪った。

民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務はワシントンで下院奪還に沸く党関係者や支持者を前に、「皆さんのおかげで、明日はアメリカにとって新しい日になる」と感謝した。

上院では共和党が議席増へ

下院とは裏腹に、与党・共和党は上院での議席を増やす見通し。

インディアナ州で民主党現職のジョー・ドネリー氏が敗退し、共和党新人のマイク・ブラウン氏が当選した。インディアナ州は伝統的に共和党地盤で、トランプ大統領は2016年大統領選で楽勝している。

ほかにも、民主党現職のクレア・マキャスキル上院議員(ミズーリ州)、ハイディ・カイトキャンプ上院議員(ノースダコタ州)が、共和党新人に議席を失った。

フロリダ州の民主党現職ビル・ネルソン議員も、共和党新人に劣勢を強いられている。

また、テキサス州では元大統領候補の共和党現職テッド・クルーズ議員が、民主党新人のベト・オローク候補を破り再選を果たした。20年以上共和党が勝利を続けてきた同州では、民主党のべト・オローク候補の追い上げが注目を集めていた。

上院では今回、定数10人のうち改選対象は35議席で、民主党が26議席を維持しようとしたのに対し、共和党は9議席のみが改選対象だったため、当初から民主党に不利と言われていた。

有権者は移民問題を重視せず

ホワイトハウスのサラ・サンダース大統領報道官はフォックス・ニュースに出演し、「現時点での結果にはとても満足している」と話した。

サンダース氏は、テネシー州などトランプ大統領が集会を行った地域では共和党が勝利していると指摘し、明日には「大統領に賞賛の声が集まるだろう」と述べた。

大統領選と大統領選の間に行われる中間選挙は通常、現職大統領の与党に不利と言われる。大統領の支持率がトランプ氏のように44%前後となれば、なおさらだ。

しかし、トランプ氏は選挙結果を受けて、「素晴らしい成功の夜だ。みんなありがとう!」とツイートした。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1060022696703070208


さらにトランプ氏は、共和党系政治評論家ベン・スタイン氏を引用し、「(大統領選の)年以外の選挙で現職大統領が上院の議席を増やしたのは、過去105年の間に5回しかなかった。トランプ氏は魔法の持ち主だ。耳から魔法が出てくるみたいだ。得票と選挙運動に素晴らしく優れている。共和党はトランプ氏がいて、信じられないほど幸運だ」などと連続ツイートした。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1060056007316045825


一方で、トランプ氏は選挙終盤、中米から米国を目指して北上する「移民キャラバン」を「侵略」と繰り返すなど、違法移民問題を脅威として強調していた。

しかし、米CBSニュースの出口調査によると、有権者の43%が、最も重要な課題は医療保険だと答え、違法移民問題を最も重視すると答えた人は23%しかいなかった。

大統領選に影響する知事選は

米国の州知事は、住民生活に直接影響するほか、大統領選の選挙区の区割りを決めるなど影響力をもつ。

フロリダ州の知事選では、左派急進派のアンドリュー・ギラム候補とトランプ氏支持のロン・デサンティス候補が接戦を繰り広げたが、デサンティス候補が勝った。

ジョージア州では、民主党のステイシー・エイブラムス候補が勝った場合、米国史上初の黒人女性知事が誕生するところだったが、対するブライアン・ケンプ氏が当選の見通し。ただし、エイブラムス氏は敗北を認めていない。開票率99.95%で、票差は約10万票だが、エイブラムス氏はすべての票が数え終わるまで負けを認めるつもりはないと表明している。

ケンプ氏の選挙事務所は、相次ぐ投票妨害で批判されてきた。

コロラド州では、民主党のジャレッド・ポリス現下院議員が当選の見通し。自分が同性愛者だと公表している、初の州知事となる。

民主党はさらに、ミシガン州、イリノイ州の知事選で勝利した。加えてカンザス州では、トランプ氏の盟友、クリス・コバッチ州務長官が、民主党新人のローラ・ケリー州上院議員に敗れた。

ニューヨーク州のアンドリュー・クオーモ知事(民主党)は、3期目の当選を余裕で果たした。クオーモ氏は2020年大統領選に出馬を検討している1人とみられている。

ウィスコンシン州では、共和党現職のスコット・ウォーカー知事を民主党の元教師、トニー・エバース候補が僅差で破った。開票率99.62%で、票差はわずか3万票。

民主党新人が現職を破ったことで、同州の民主党は2020年大統領選への期待を新たにしている。ウィスコンシン州は激戦州だが、2016年大統領選ではトランプ氏を支持した。

投票所で長蛇の列

フロリダ大学を拠点に選挙情報を提供する「米選挙プロジェクト」によると、投票前日までに約4000万人が投票を終えた。2014年の中間選挙の期日前投票数はわずか2750万人だった。

テキサス州では、期日前投票数が前回中間選挙の総投票数を上回った。

一部の州では投票所で長蛇の列ができ、投票機械が足りないなどのトラブルもあったようだ。

AP通信によると、ジョージア州やアトランタ州、アリゾナ州、ニューヨーク州などで投票機器の不具合が多発したほか、投票所で大きな混雑が見られた。

米国土安全保障省の高官は、「ちらほらと」機器の故障の報告を受けているが、投票に大きな影響は出ないと話している。

トランプ大統領は、民主党が連邦議会で過半数を握れば違法移民が増え、経済が破壊されると警告し続けた。

一方、多くの民主党候補はトランプ氏との直接対決を避け、代わりに医療や経済格差といった身近な問題に重きを置いた。民主党は、トランプ大統領の強硬的な論調によって若者や都市郊外の穏健派、少数派などの票を集められると期待した。

トランプ氏の論調をめぐっては、2014年に保安官補2人を殺害したメキシコからの違法移民を取り上げた政治宣伝ビデオが人々の分断をあおるとして批判された。

5日には、フェイスブックやNBCに加え、トランプ氏お気に入りのフォックス・ニュースも、このCMを放送・表示を中止すると発表した

(英語記事 US holds breath as polls begin to close

提供元:https://www.bbc.com/japanese/46119857

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