サイバー空間の権力論

2018年11月15日

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塚越健司 (つかごし・けんじ)

拓殖大学非常勤講師

1984年生。専攻は情報社会学、社会哲学。著書に『ハクティビズムとは何か』(ソフトバンク新書)、共編著に『「統治」を創造する』(春秋社)、など。TBSラジオ『荒川強啓デイ・キャッチ!』火曜ニュースクリップ担当としてレギュラー出演中(http://www.tbsradio.jp/dc/)。

 前回は人工胎盤や人工子宮といった、近未来の生殖について考察を行った。技術環境の変化によって、急速に我々の「常識」が変化する中で、軸となる考えや、それを動かす技術環境のあり方が問われている。昨今は賛成と反対のいずれかの立場から声高に発信するか、あるいは賛否両論の生じやすい議論を敢えて展開し、炎上によって注目を集める議論形式が存在する。技術と社会をめぐる議論は慎重かつ理性的に行わなければならないが、問われているのは、そもそもそのような問題をどのように伝えるか、であろう。とはいえ、そのためには理性だけでなく、直感も適切に利用することが求められる。なんとも複雑な社会である。

 今回は、人々が何を望むかというテーマを、昨今各方面で話題のZOZOの問題から考えてみたい。ZOZOの持つ技術やそのビジネスモデルはどのようなものであり、どのような意味において考察の対象となるのだろうか。

話題だったZOZOSUIT、将来的に廃止する予定なのはなぜか?(写真:ロイター/アフロ)

ZOZOSUITを将来的に廃止?

 ファッションアイテムのプラットフォーム「ZOZOTOWN」を運営するZOZO(旧社名スタートトゥデイ)に注目が集まっている。10月31日に発表した2018年4〜9月期決算会見で前澤友作社長は、あの「ZOZOSUIT」を将来的に廃止する意向を発表した

 ZOZOは2018年からプライベートブランド「ZOZO」(以下読みやすさを考慮しPBと表記)をてがけ、Tシャツやジーンズなど、ベーシックアイテムの販売を開始している。PB商品の画期的な点として、ZOZOが配布する「ZOZOSUIT」を利用することで、ユーザーに最適なサイズのアイテムが選択できる、という点にあった。

 画像検索すればすぐにわかるが、ZOZOSUITは黒い全身タイツのような形状をしており、ZOZOSUITを着たユーザーがスマホで自分を撮影し、そこから体型を計測するものとなっている。ただし、初期のZOZOSUITはスマホでユーザー自身が自分を撮影するものではなく、着るだけでZOZOSUITに内蔵されたセンサーがユーザーの体型を計測する、という仕様を予定していた。ある種の未来感を伴う初期型ZOZOSUITに期待が高まっていたが、結局生産体制等の問題から断念し、現在のZOZOSUITになった経緯がある。

 いずれにせよZOZOSUITは、ユーザーが自分の詳細な体型を知り、それを利用してPB商品を購入したり、ZOZOTOWNの商品購入の際に参考になることが期待された。にもかかわらず、なぜ前澤社長はZOZOSUITの将来的な廃止を発表したのだろうか。

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