世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年11月20日

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 この論説は、プーチンの人気が低迷し始めていることを指摘している。正しい観察である。ロシアでは、生活水準が低くなってきており、国民の不満は高まってきている。その上、平均寿命66歳のロシア人男性の年金開始年齢を65歳にするとのメドヴェージェフ首相の提案は、政府への信頼感を著しく傷つけた。ロシア人は「生活第一」である。国威が発揚されているので、生活上の不満は我慢する、ということにならない。プーチンの「西側が悪いのだ」という宣伝にもロシア人はあまり納得していない。特に、サッカー・ワールド・カップで多くの西側の人々がロシアを訪問したが、彼らは、ロシアを包囲し困らせようとしている敵のイメージからはほど遠い人々であり、政権の「西側に包囲されたロシア」との宣伝は有効性がなくなっている。

 プーチン政権は2024年まで続くものの、支持率は長期的には低落していくと思われる。そして、プーチンの次の政権は欧米との関係を重視する政権になる可能性が高いのではないだろうか。後継者の一番手、メドヴェージェフは反対勢力の代表であるナヴァルニーにその汚職ぶりを攻撃され、評判は良くない。スターリンのあと、短いマレンコフ時代があり、その後、西側との関係を重視したフルシチョフが出てきたような経過が最もありうるように思われる。プーチン亜流の長期政権は考え難い。

 Dzyadkoが予想する「小さな戦争」をプーチンが画策することはあろうが、バルト諸国はすでにNATO加盟国であるから、「小さな戦争」では済まなくなる。モルドバ、ジョージアで何かやっても、ロシア人の熱狂的支持を得るのは難しい。あまりいい「小さな戦争」の候補は見当たらない。ただ、プーチンはそういうことを画策する人であるとの指摘は的確であるので、注意しておく必要はある。
 

  
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