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2018年11月19日

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テリーザ・メイ英首相は、英国の欧州連合(EU)離脱に関する合意案をめぐる自分への批判に対し、たとえ不信任決議で自分を退任させてもブレグジット(英国のEU離脱)は容易にはならないと発言した。

英国は13日、EUと離脱合意案を取りまとめ、翌14日に内閣で承認したものの、国内で保守党内外から批判が出ている。メイ首相はこの案を擁護し、今週は「重要な」週になると話した。

EU加盟国は25日に首脳会議でこの案を協議する予定だが、メイ氏は、それに先駆けて英・EU間の将来の関係性の詳細が明らかになれば、合意案に反対している保守党議員も満足するだろうと述べた。

一方、15日にEU離脱担当相を辞任したばかりのドミニク・ラーブ氏は、英国はEUに「いじめられている」と話した。

また、最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、2019年3月29日の離脱日までに、労働党ならもっと良い離脱合意をまとめられると話した。

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585ページにわたる合意案では、在英EU市民と在EU英国市民の権利保障や来年3月の離脱以降に設けられる21カ月の移行期間、英国がEUに支払う最大390億ポンド(5兆7500億円)の「清算金」について取り決められた。

交渉で最も難航したのは、アイルランドと英国・北アイルランドの出入国・通関手続きを復活させないための「バックストップ(防御策)」だったが、これが英国がブレグジット後もEUのルールに縛られる原因になるとして批判を浴びている。

EUサミットでの承認後、合意案は英下院で投票にかけられるが、ここで過半数を取れるかどうか疑問視されている。

ラーブ氏を含む複数の閣僚がこの案をめぐって辞任したほか、合意案を修正できないか画策している閣僚もいる。

その他の進展は以下の通り。

  • 欧州委員会は、移行期間の延長限度を2022年12月31日とする案を提出した
  • 英保守党のEU離脱派グループは合意案に対する反対意見書をまとめ、この案では英国が「規則を受け入れる側」になると批判した
  • 保守党の地方議員505人に行った調査では、合意案に反対する議員が賛成を上回った。ただし、半数以上の議員が下院議員にはメイ首相を支持して欲しいと答えた
  • スコットランド自治政府のニコラ・スタージョン首相は、スコットランド国民党(SNP)の議員は合意案に反対すると表明した

メイ首相はスカイニュース番組「リッジ・オン・サンデー」に出演し、先週は「厳しい週」だったと認めた一方、自分の集中が乱れることはないと発言。次の1週間は英国の未来にとって「重要な週になるだろう」と語った。

一部の保守党議員が党の1922年委員会のサー・グレアム・ブレイディー委員長に首相不信任の書簡を提出していることについて、不信任動議の採決に必要な48通が集まっているかとの質問には、「私が知っている限りでは、いいえ、集まっていない」と答えた。

さらに、首相交代を強く求める与党議員に対して、「(首相をすげ替えても)交渉が容易になったり、議会の形勢が変わったりすることはない」と警告した。

その上で、英国とEUの将来の関係をめぐる協定については詳細を詰める交渉が続いており、この部分が「ブレグジットの投票を達成するもの」だと話した。

また、EUサミットに先駆けて欧州委員会のジャン=クロード・ユンケル委員長と会談することを明らかにした。

EUの反応は?

EUのミシェル・バルニエ首席交渉官は、EU27カ国の大使と会談を行った。

ブレグジット後の移行期間は現在、2020年末までになるとみられているが、欧州委員会は今回、最長で2022年末まで延長できる案を提出した。

移行期間中、英国とEUの関係の大部分はこれまで通りとなり、その間に双方は通商協定の交渉を行う。交渉が長引いた場合に、移行期間が延長される予定だ。

BBCのアダム・フレミング・ブリュッセル特派員によると、通商については英国と野心的な関係を築きたい国と、英国の単一市場へのアクセスを制限したい国とで意見が分かれている。

英国は安全保障についても現状を維持したい考えだが、これも「問題の一つだ」と大使らは伝えられているという。

さらに、スペインが英領ジブラルタルに関する懸念を高めているとフレミング特派員は付け加えた。

ある外交官は、EUの交渉チームから加盟国へのメッセージは「将来の関係に関する交渉で各国の懸念を取り上げるから、今のところはそれにふたをしてほしい」というものだったと話した。

メイ首相に対する不信任案の行方は?

保守党で不信任投票の是非を決める立場にあるブレイディー委員長はBBCのラジオ番組で、首相不信任の書簡を何通受け取ったかは、自分の政治秘書でもある妻にさえ話していないと述べた。

「スーパーでも、道を歩いていても聞かれる」

憶測として、不信任案決議に必要な48通を受け取っているのに行動していないのではと言われるのは、「いささか腹立たしい」と話した。

「この点については私の良心を信じてもらうことが大事だ」

また、BBCの番組「サンデー・ポリティクス・ノース・ウェスト」では、仮に不信任案決議を行うことになっても、メイ氏は「かなりの確率で」勝つだろうと話した。

もし投票が行われ、不信任案が決議された場合、EUの首脳会議が実施されるかどうかは不透明だ。

欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長(大統領に相当)は、「非常事態」が起きない限りはサミットを開くとしているが、内容については詳しく述べなかった。

労働党の動きは?

労働党のコービン党首は、下院議員257人は合意案に反対するだろうと発表した。

スカイニュースの取材でコービン氏は、北アイルランドに関する「一方通行の合意」は「受け入れられない」と話し、労働者の権利や環境保護にも保証がないと指摘した。

下院で合意案が否決された場合については、政府はEUと「迅速な再交渉」を行うべきだと話した。

さらに、労働党はより良い条件を交渉で引き出せると述べ、最終合意が成されたあとの移行期間には「その機会がある」と話した。

一方、党内からも実施の声が挙がっている2度目の国民投票については、「将来の選択肢の一つだが、現在のものではない」と語った。

(英語記事 May: Ousting me won't help Brexit

提供元:https://www.bbc.com/japanese/46257088

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