世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年11月26日

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 中東では、歴史的に主要国の関係に地殻変動が起きてきた。主要国とはイラン、イラク、イスラエル、サウジ、トルコであるが、最近まで、米国がイスラエル、アラブの湾岸諸国の大半、それにトルコと組んでイランに対抗してきた。最近の主要な変化は、トルコが米国から離れ、イランとロシアに接近したことである。その結果、新たにトルコ、イラン、ロシアの同盟が生まれているように見える。

(Pomogayev/chaberkus/iStock)

 ランド研究所政治学者のクラークとタバタバイは、Foreign Affairs誌ウェブサイトのSnapshot欄に10月31日付けで掲載された論説、‘Is Major Realignment Taking Place in the Middle East?’で、その要因について次のように分析している。

 1.2014年にエルドアンはトルコの大統領になったが、エルドアンの世界観はイランとロシアと共通点をいくつか持っている。トルコは今やかつてないほど反西欧であり、NATOから離れつつある。

 2.エルドアンは自らをスンニ派の指導者とみなしているようであり、トルコが「イスラム世界を指導できる唯一の国」とすら述べている。サウジは同盟国ではなく競争者となる。カショギ殺害事件は、トルコとサウジの緊張を高める一連の動きの最新のものに過ぎない。

 3.トルコは、シリアの安定を望んでいる。この目的は、イランとロシアの目的と一致する。ロシアとイランは、アサドの権力維持と自らの地域における地位を確保すべく、シリアで協力している。シリアの領土の一体性を保持し、地域の分断や国家破綻を回避することは、三国の関心事である。

 4.トルコはISよりクルドを懸念している。トルコが、米国、サウジよりイラン、ロシアと組むいま一つの要因である。特に、イランはクルドが勢力を得ることを脅威と感じているようである。エルドアンは、アルカイダと結びつきのあるテログループTahrir al-Shamとの関係を強め、同グループを、米国とサウジが支持しているシリアのクルドYPGに対抗させようと考えているようである。

参考:Colin P. Clarke & Ariane M. Tabatabai,’ Is Major Realignment Taking Place in the Middle East?’(Foreign Affairs, October 31, 2018)
https://www.foreignaffairs.com/articles/turkey/2018-10-31/major-realignment-taking-place-middle-east

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