2024年4月20日(土)

中東を読み解く

2018年11月24日

イランが核爆弾を開発すれば、われわれも核爆弾を保有する

 とりわけムハンマド皇太子の発言が議会や国防総省を刺激したことも大きい。皇太子は3月、米CBSニュースとのインタビューで、サウジが核爆弾の入手を望んでいないとする一方で、「もしイランが核爆弾を開発すれば、できるだけ速やかにわれわれも核爆弾を保有する」と言明した。

 イラン核合意を米国が破棄し、合意自体が崩壊の瀬戸際に立たされている今、皇太子の発言は中東に「核のドミノ」が起こり得る恐怖を浮き彫りにした。民主党のシャーマン下院外交委員長は「核(原発)を売るのは通常兵器を売るのと全く別問題」とし「(カショギ氏の遺体を切断した)電気のこぎりを使った国を信頼できないのに、同じ国を核兵器で信頼できるわけがない」と指摘している。

 トランプ大統領1人が意固地になってムハンマド皇太子擁護に力を入れる中、欧州ではサウジへの反発が拡大、デンマークとフィンランドも22日、ドイツに続いてサウジへの武器禁輸を発表した。大統領は欧州の小国の決定など意に介さないだろうが、米国の国際的な信頼性は確実に崩れている。

  
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