世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年12月3日

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 11月5日トランプ政権は、対イラン制裁の復活第2弾として、エネルギー、造船、海運および金融の分野の制裁を発動し、核合意に伴い解除されていた制裁が全面的に復活した。トランプは、「自分ならオバマが交渉した破滅的な核合意よりも良い取引きが出来る」として、制裁によりイランを交渉のテーブルに引っ張り出すことにしたのである。トランプのお手並み拝見となる。なお、米国は、中国、インド、韓国、トルコ、イタリア、日本、ギリシャ、台湾の8の国・地域についてイラン石油の輸入に係わる制裁の適用を180日間免除するとした。ポンペオ国務長官は、免除の決定は原油価格の高騰を防ぐためであることを示唆している。

(jack191/mehmetbuma/iStock)

 トランプが本当に交渉を望んでいるのか確かではないが、イランが交渉に出て来るようには思えない。トランプに脅かされ制裁の圧力屈して交渉に応じる一方でなお政権を維持する選択肢がロウハ二はあろうはずがない。そうであれば、トランプ政権の狙いはレジーム・チェンジだということになる。イランに世俗的な普通の民主的政権が出来ることは歓迎であるが、そういう可能性があるという兆候は何処にもない。

 イランはこれまでのところ抑制的に対応している。欧州が核合意にコミットしている限り、イランもこれを遵守するとの態度である。不満のはけ口をミサイルの発射やペルシャ湾での挑発的行動に求めることもしていない。

 イランの抑制的態度を支えているのは欧州の努力である。その努力の一つの現れが欧州企業のイランとの正当な取引きを保護するためのEUの対抗立法である。対抗立法は、米国の第1弾の制裁復活に合わせて8月7日に発効した。その趣旨は、(イ)欧州企業に米国の制裁の域外適用に従うことを禁じ、(ロ)欧州企業に米国の制裁による損害の補償を求める法的手段を提供し、(ハ)米国の制裁に係わる外国の裁判所の判決のEUにおける効力を無効とするものである。しかし、その効果は疑わしい。トタル社やジーメンス社のイランのビジネスからの撤退を防げていない。米国のビジネスからの排除と米国の金融システムへのアクセスの遮断を内容とする米国の第二次制裁に対しては無力であろうと思われる。

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