2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年12月4日

 11月15日、シンガポールで第13回東アジア首脳会議(EAS:参加国は、ASEAN10か国、日本、中国、韓国、豪州、ニュージーランド、インド、米国、ロシア)が開催された。同日発出された議長声明のうち、南シナ海関連の部分の骨子は次の通り。

(Tom Goossens Photography/FilmColoratStudio/lkpro/-slav-/iStock)

・南シナ海における平和、安全保障、安定、安全並びに航行及び上空飛行の自由を維持・促進することの重要性を再確認するとともに、南シナ海を平和・安定及び繁栄の海とすることの利益を再確認。南シナ海行動宣言(DOC)全体の完全かつ実効的な履行の重要性を強調。ASEANと中国との間の改善している協力関係及び相互に合意されたタイムラインでの実効的な南シナ海における行動規範(COC)の早期妥結に向けた実質的な交渉の引き続きの進展に留意。ASEAN加盟国及び中国がCOC交渉のための一つのテキスト案に合意したことに留意。この関連で、COC交渉に資する環境を維持することの必要性を強調。ASEAN諸国と中国による南シナ海における海洋危機管理のための外交当局間ホットライン試行の成功及び2016年9月7日に採択された南シナ海における「洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準」(CUES)の適用に関する共同声明の運用開始のような、緊張を緩和し、事故、誤解、誤算のリスクを減少させ得る実際的な措置も歓迎。また、特に当事者間の信用及び信頼を強化する信頼醸成及び予防措置の実施の重要性を強調。

・COCが、国連海洋法条約(UNCLOS)を含む国際法と整合的であることの重要性を強調。

・南シナ海に関する事項について議論し、信用及び信頼を損ない、緊張を高め、この地域における平和、安全保障及び安定を損ない得るこの地域における埋立てや活動に対する懸念に留意。相互の信用及び信頼を高め、活動の実施に当たっては行動を自制し、状況を更に複雑化させ得る行動を回避し、UNCLOSを含む国際法に従って、紛争の平和的解決を追求することの必要性を再確認。非軍事化及びDOCにおいて言及された事項を含む、南シナ海における状況を更に複雑化し、緊張を高め得るクレイマント国(注:領有権主張国)やその他の国による全ての活動の自制の重要性を強調。 

出典:外務省ホームページ『第13回東アジア首脳会議(EAS)』平成30年11月15日


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