自治体首長インタビュー

2018年12月6日

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あたみ桜は熱海市の木にも指定されている早咲きの桜。糸川遊歩道をはじめ、市内各所に植えられている。例年1月から3月にかけて見頃を迎える。

観光産業は「オンリーワン」か「ナンバーワン」を目指す

 こう聞くと、「うちにも梅や桜はある。売りになるかも」と飛びつきたくなる自治体もいるだろう。だが事はそんなに単純ではない。

 「観光産業に関しては、『オンリーワン』か『ナンバーワン』にならないと生き残れないと思います。熱海の梅・桜は日本でこれ以上早く咲くものがないから価値があるのです。他にも、ポルトガルなどで有名なジャカランダという紫色のきれいな花があるのですが、海外旅行好きの女性の間で大変人気が高く、これも市街地に100本近く植わっているのは熱海だけだと思います。この花は毎年どんどん伸びていくので、後から植えたとしても熱海が先行優位性を保てます」

 「競争相手に必ず勝てる状況を作って、舞台を回していかなければいけません。すぐにまねされて追いつかれるものはやってはいけないのです。常に熱海が優位に立てるものを中心に取り組んでいます」(齊藤市長)。

ジャカランダは例年6月頃に咲く、世界三大花木の一つ。国際姉妹都市であるポルトガルのカスカイス市から贈られた2本の木がはじまりで、現在は遊歩道も整備されている。

 確かに、ゆるキャラ、B級グルメ、ふるさと納税、一事が万事その調子だ。自治体の特色はそれぞれ違うはずなのに、「すべての自治体がお手本探しをしているよう」だと齊藤市長は言う。

 「自治体が100あれば、生き残り方は100通りあるはずです。立地、歴史、産業構造、人口構成などの要素によってそれぞれ異なってきます。たとえば、熱海の隣接自治体である伊東市と湯河原町も、同じ観光地で近接しているにもかかわらず、雰囲気も強みもまったく違います。そこを冷静に考え、アクションを起こしていく必要があるでしょう」(齊藤市長)。

 また、行政と民間の協働も欠かせない。それぞれの役割を全うするとともに、それらがつながってうまく循環していけば、まちは活性化していく。熱海でも様々な取り組みがなされているが、官民の連携という点では「A-biz」が注目だ。ブランディングやマーケティング、ITの専門家チームが主に売上アップに特化した無料の経営支援を行なった富士市産業支援センターの「f-Biz」をモデルにした取り組みを行っている。まさに頑張る民間を応援する行政の仕事と言えるだろう。「頑張れば売り上げが上がりますよ、と具体策なしに口で言っても意味がないですし、事業者もやる気が出ません。先ほどお話した熱海の名産品の認定制度もそうですが、もっと味をこうしたら、パッケージをこう工夫したら…と具体的なアドバイスがあり、それが結果を生み出すことで『それならもっと頑張ってみようかな』という気持ちになれるのです」(齊藤市長)。

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