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2018年12月2日

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イノウエヨシオ

株式会社ファンドレックス取締役COO(最高執行責任者)。共益投資基金ジャパン代表理事。NPOや公益法人向けのファンドレイジング研修では年間3000名以上に講演。地域の課題解決のための取り組みを全国各地で行うと共に、チャリティイベントの企画や災害対応の研修などで高い評価を得ている。資金的支援に経営的支援を組み合わせた新しい資金循環にも取り組んでいる。

新年を安心な気持ちで迎える

 防災が意識されるのは、過去に大規模災害が発生した期日が多いかもしれない。例えば、防災の日(9/1)は、関東大震災が発生した日であるし、防災とボランティアの日(1/17)は阪神・淡路大震災をきっかけとして生まれた。他にも東日本大震災(3/11)や、熊本地震(4/14前震4/16本震)なども記憶に新しい。

 過去の事例を他人ごとにせず、そこから教訓として学び、次に活かしていくことは大切な取り組みだ。しかしながら、その日に災害準備をし始めるのではなく、準備ができて、安心な気持ちでそうした日を迎えるようにしたい。先ほど挙げたこれらの食品を年末の買い入れに一緒に備えておけば、新年を安心な気持ちで迎えることができるようになる。

 また、これらは実際の備えを準備すると共に、心の準備を進めることにも役立つ。災害が発生したときに、避難勧告が出ているにも関わらず、避難しない人が多いという課題があり、これは「正常性バイアス」「多数派同調バイアス」と呼ばれている。

 正常性バイアスとは、「自分だけは大丈夫だ」「悪いことは自分の周りには起こらないはずだ」「いままで大丈夫だったから今度も大丈夫だ」と言った根拠のない勝手な思い込み。また、多数派同調バイアスとは、「まだ周囲の誰も避難していないからまだまだ大丈夫」「他の人が動き始めてから、私も動き始めることにしよう」という考えで、いわばこの2つは「都合の良い思い込み・先入観」に過ぎない。

 その結果、被災地からの報道で、よく聞かれるのは「こんなはずではなかった」、「こんなことが起こるなんて思わなかった」。実際に目の前を土砂崩れが押し寄せたり、河川の堤防が決壊して濁流が押し寄せてきたりすれば、危機が差し迫れば明確に認知して「正常性バイアス」「多数派同調バイアス」も吹き飛んで判断できるが、そうなってからでは手遅れだ。

 自宅や職場周辺のハザードマップを確認して、危険な地域であるからどこまで逃げなければならないのかを考えたり、ローリングストックを回して実際の備えを想定しながら行うことは、非常時の「想定外」として認識する範囲を押し拡げ「正常性バイアス」と「多数派同調バイアス」を打ち破ることができるようになってくる。

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