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2018年12月4日

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土方細秩子 (ひじかた・さちこ)

ジャーナリスト

ボストン大学コミュニケーション学部修士課程終了、パリ、ロサンゼルスでテレビ番組製作に携わり、1993年より米国でフリーランスのジャーナリスト活動を行う。

 今年のロサンゼルスオートショーで突如彗星のように現れ、注目を集めたのがミシガン州に本拠を置くRivian社だ。「エレクトリック・アドベンチャー・ビークル」という名の下、SUVとピックアップトラックという2台のEVを発表し、そのオフロード性能が驚きをもって迎えられた。

Rivian社のSUV

 EVというと現在の潮流はラグジュアリースポーツ系もしくは3万ドル台の比較的安価な小型車、という2つに分けられる。スポーツ系はEVのトルクの高さという利点を活かし、初速の早さに重点を置いたもので、テスラモデルSなどがその代表と言える。一方小型系はバッテリーの持ち、継続走行距離に重点を置いたもので、日常で扱いやすいEVを目指す。GMのボルト、日産リーフなどがその代表と言える。

 

 しかしRivianはEVのトルクの高さをオフロード走行性能に結びつけた。これは非常に理に適ったものであると同時に、米国では毎年販売される車の50%以上が大型SUVやピックアップトラック、というライトトラック系だということを考えると、営業的にも意味がある。

 気になるスペックだが、R1Tと名付けられたトラック、R1Sと名付けられたSUVは同じスケートボード・プラットホームという構造で作られている。バッテリーパックは最大出力が180キロワット/時と世界最大級で、トルクの高さを生かした初速は0-60マイル(停止状態から時速100キロ達成)が3秒、0-100(時速160キロ達成)が7秒、とほとんどのスポーツカーに引けを取らない。

個性的なストレージ

 さらにRivian社によるとどちらも最大5000キロの牽引能力があり、45度の急坂を登攀できる。さらには最大1メートルの水深での走行まで可能なのだという。また驚くべきはEVの特性、つまりエンジンがなくコンポーネントが少ないことを活かし、最大で330リットルものストレージスペースを確保したことだ。両方のモデルでフロントボンネットの下はストレージスペースになっており、ピックアップトラックでは後部座席の下側、トラックベッドと豊富なストレージが用意されている。

 

 しかもRivian社の車は最初からレベル3の自動運転性能がスタンダードとして付いてくる。またデジタル・アーキテクチャーを採用し、クラウドベースでのセキュリティを提供する他、ドライバーの好みを車が記憶し、シートの位置や流す音楽を選択、という通常の機能のほか、オフロードに特化した機能として「隠れたトレイルロードのサーチ」「風景に優れた別の道の選択」などを行うことができる。つまり従来の「できるだけ早く渋滞の少ないルートを選ぶ」というナビ機能とは一味違う、ドライバーの好みによるルート選択が可能だということだ。

 Rivianの車は2020年後半から販売が始まるという。価格はまだ公表されていないが、5万ドル程度からになるのでは、と見込まれている。(バッテリーパックの性能などにより3つのクラスがあり、継続走行距離が400マイルを超えるのは最高の180キロワット/時のパックとなる)販売方法についてはテスラ形式で製造元からの直接販売が考えられているが、現時点では未定だ。

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