田部康喜のTV読本

2018年12月5日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

ぶっきらぼうなセリフのやり取りが、胸に迫る

 茜は藤城からも逃れて、ビルのトイレで睡眠薬自殺を図るが、未遂に終わる。警務課から刑事課の応援にきた、尾関(舘)と若手刑事の田中啓介(神田穣)が入院した茜を訪ねると、彼女はこういうのだった。

 「わたしは罰せられて当然なんです」

 茜は、病院を抜け出て、名刺を頼りに板垣の家にたどり着く。板垣は行き着けの喫茶店で茜を落ち着かせるのだった。中学一年の女生徒自殺事件を思い出しながら、茜はこういう。

茜  「あの日からわたしは加害者になった。いまネットにさらされている。因果応報です。神の啓示のように、あなたに会った。それで死のうと思った。目が覚めたらベッドの上だった。わたしは死ぬこともできない」

板垣 「俺の責任か」

茜  「わたしも償わなければならない。あなたも償ってください」

板垣 「連続殺人事件か」

茜  「いえない」

 連続殺人事件は、警察が聞き込みに行った男がその後、行方をくらましたことから、この男を重要参考人として手配する直前だった。しかし、ネット上で、犯人として名前と写真がさらされた、荒木琢磨(塚本高史)が犯行をにおわす電話を警察にかけて、任意同行された。しかし、彼の供述は、犯行現場に通じる道の各所に設置されていた防犯カメラに、彼の乗用車が映っていないことから、犯行は否定された。なぜ、嘘の供述をしたのか、警察を混乱に陥れる。

 尾関(舘)と板垣(神田)は、連続殺人事件に別々の視点から迫っていこうとしている。ふたりの歩いている風景と出会った人物の言葉が、画面の切り替えの連続のなかで焦点を結ぼうとしているようだ。

 尾関は板垣の自宅の前で彼を待っている。

板垣 「なんだ」

尾関 「ある女がおまえの名刺を持っていた」

板垣 「それがどうした」

尾関 「見崎茜を知っているか」

板垣 「知らない」

尾関 「本当に知らないのか」

板垣 「知らない」

尾関 「心当たりを思い出したら連絡くれ」

 ふたりのぶっきらぼうなセリフのやり取りは、胸に迫る。シリーズ3は全4回。師走の夜に、じっくりと観たいドラマである。

  
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