世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年12月12日

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 他方、「欧州軍の創設」という大風呂敷ではなく、部分的な軍の統合の動きは着実に進んでいる。ブローの論説は、次のような具体例を挙げている。

・2013年以来、スウェーデンとフィンランドは空の軍と海軍の一部を統合。

・スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの空軍はほぼ毎週合同訓練を実施。

・ベルギーとオランダは海軍を共有。

・フランスとドイツは以前より一旅団を共有。

・オランダの陸軍の一部はドイツの陸軍に統合。

 こうした動きは、欧州の防衛協力推進の点から有意義であるのにならず、財政的事情からも必要と見られる。欧州各国がそれぞれ国民軍を維持することは財政的にますます困難になっているとの指摘がある。欧州各国の防衛費支出の合理化は、NATO内での防衛費の分担を増加させる努力をすると同時に、各国の防衛協力を進めることにより達成され得る。

 トランプ政権下で米欧の相互不信は根深いものがあり、米欧関係の管理は今後とも容易でないと思われるが、欧州軍の創設は、現実的観点から一歩一歩進める以外にないと思われる。

  
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