WEDGE REPORT

2011年8月30日

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漆原次郎 (うるしはら・じろう)

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、科学技術関連の記事を寄稿。早稲田大学大学院科学技術ジャーナリスト養成プログラム修了。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』『日産驚異の会議』『宇宙飛行士になるには』など。

 だが、海藻のバイオマス利用には、実現に向けての大きな壁があることも自覚している。「国家管理の観点から海上保安庁はまず許してくれない。巻き網漁船がひっかかるといった漁業問題もありうる。ほとんどの海洋関係者は反対でしょう」。

 そこでいま、能登谷氏らが視野に入れているのが、離島近海の養殖施設に固定式でホンダワラを育て、島のエネルギー自給自足を満たすといったコンパクトなバイオマスエネルギー利用法だ。実際、人口2500人ほどの島根県隠岐海士町で、町の協力のもと実証研究を始めようとしている。

 こうした地産地消型の小規模エネルギーとして、バイオマスエネルギー活用の可能性はありえるだろう。「大規模開発は巨大企業の戦略。本来エネルギーを資本の対象にする構図がおかしいのではないでしょうか。各地域でエネルギーをまかなえることができれば、環境破壊を最小にすることができるのです」。

 だが、再生可能エネルギーに対しても、巨大企業が資本の対象に使用としている現実はある。産業の枠組みの中で再生可能エネルギーを考えた場合、バイオマスエネルギーが国の将来を担うほどの主力エネルギーになるだろうか。いまのところバイプレーヤーとしての位置付けで考えるのが現実的という印象だ。

 日本が得意とする半導体技術から誕生した太陽光発電、それにカーボンニュートラルで環境負荷が少ないと謳われているバイオマス。これらのエネルギーは、再生可能エネルギーの中でも“日本人好み”といえそうだ。

 ところが、世界の主流に位置づけられている再生可能エネルギーはというと、日本では人気があるとはいえない。もうひとつの次世代エネルギー「風力発電」は、日本の風土に適していないのだろうか。(後編へつづく)
 
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