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2018年12月6日

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合計4人の米大統領と夫人たちが、ひとつの会衆席に並んで座った。ホワイトハウスで過ごした年数は合計すると22年になる。5日にワシントンの国立大聖堂で行われた、ジョージ・H・W・ブッシュ第41代米大統領の国葬での光景だ。

現在と過去の最高司令官が一箇所に集まるのは、滅多にないことだ。大統領経験者の葬儀や大統領資料館の開館式などを例外にして。

故人の長男、ジョージ・W・ブッシュ元大統領が通路の反対側の家族席に座ると、大聖堂の会衆席に座った大統領経験者は合計5人、任期は合計30年になった。

これは特筆すべき光景だと、複数が気づいた。たとえば米NBC系列局WKYCのクリス・タイ氏は「このショット。米国の歴史で珍しいことだ。存命の大統領5人のうち4人が1枚に。現代医療と交通手段の発達のおかげで、以前より頻繁に起きる」とツイートした。

https://twitter.com/TVTye/status/1070345183022202880


しかし、トランプ大統領と他の大統領夫妻たちとのあいさつは、ぎこちないものだった。これまでの経緯を思えば無理もない。

ツイッターでは、米紙ワシントン・ポストのアロン・ブレイク政治記者が、「一緒に並んでいる人たちについてトランプ氏は、(1)違法な大統領と呼んだ(オバマ氏)、(2)女性を襲ったと言った(クリントン氏)、(3)牢屋に入れるべきだと言った(ヒラリー氏)、(4)オバマに次いで史上最悪から2番目の大統領だと呼んだ(カーター氏)」と解説した。

https://twitter.com/AaronBlake/status/1070347638313312256/photo/1


大聖堂では実際、どういうやりとりがあったのか。

握手したりしなかったり

歴代大統領夫妻の中で、トランプ夫妻は最後に到着した。最前列に座る際、隣にいたオバマ夫妻と握手した。

ミシェル夫人は礼儀正しく挨拶したが、ぎこちなかった。前大統領夫人がどういう思いでトランプ氏と握手したのか、誰もが知りたいところだろう。

https://twitter.com/YahooNews/status/1070358614848757765


ミシェル夫人は最近のインタビューで、トランプ氏がハワイ出身のオバマ氏について、「オバマは米国生まれではないので大統領になる資格がない」という根拠のない虚偽の陰謀論を展開したことについて、絶対にトランプ氏を許さないと公言している。

オバマ夫妻の反対側に座っていたヒラリー・クリントン氏は、トランプ氏と握手しなかった。

クリントン氏はまっすぐ正面を見つめ続け、トランプ氏とは目線を合わせなかったように見える。クリントン氏とトランプ氏が公の場で顔を合わせるのは、2017年1月の大統領就任式以来だ。

https://twitter.com/BBCJonSopel/status/1070345457887531009/photo/1


2016年大統領選で両者は激しく対立し、トランプ氏はヒラリー・クリントン氏を私用メールサーバー問題をめぐり「犯罪者」呼ばわりした。トランプ氏の支持者集会では「牢屋に入れろ」の合唱が定番だった。

これに対して選挙前のテレビ討論会では、クリントン氏がトランプ氏をロシアの「操り人形」と呼び、トランプ氏がこれを否定する場面もあった。トランプ氏がクリントン氏を「なんていやな女だ」と呼ぶこともあった。

しかし大聖堂では、メラニア・トランプ夫人はビル・クリントン元大統領に握手し、ヒラリー夫人に手を振った。ヒラリー夫人は会釈を返した。

そしてまた大統領が1人

ジョージ・W・ブッシュ元大統領が入場し、遺族席に着く前に、通路を挟んで隣り合わせの席にいる大統領夫妻たちに次々と挨拶した。

ミシェル夫人と握手する際には、何かを手渡したように見えた。ブッシュ氏は同じ国立大聖堂で9月に行われたジョン・マケイン上院議員の葬儀では、並んで座っていたミシェル夫人にのど飴を手渡していた。


https://twitter.com/CBSNews/status/1070351891714985984


トランプ氏とブッシュ一族はこれまで、たびたび対立してきた。しかしこの日の葬儀は、94歳で亡くなった元大統領を公職者、父親、戦争の英雄として称えるための場で、両家は互いの悪感情を水に流した様子だった。

トランプ氏は2016年大統領選で共和党候補指名を争ったジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(故ブッシュ氏の次男)を「エネルギー不足」と中傷し、故ブッシュ氏の大統領としての業績を嘲笑したことがある。一方の故ブッシュ氏は、2016年選挙では民主党のヒラリー・クリントン氏に投票したと伝記作家に話していた。

しかし元大統領が亡くなると、トランプ氏は称賛の言葉を繰り返し、大統領専用機をテキサス州に派遣した。通常は「エアフォース・ワン」と呼ばれる専用機は、一時的に「特別空中作戦41」と名称を変更し、故ブッシュ氏の棺をテキサスからワシントンへ、さらにワシントンからテキサスへと運んだ。

故ブッシュ氏自身が、トランプ大統領の出席を希望していたという情報もある。マケイン上院議員の葬儀では、遺族の希望でトランプ氏は欠席した。

大統領が集合したとき

米紙ニューヨーク・タイムズは、歴代大統領が集合した近年のイベントを次のようにまとめた――。

  • 1991年――カリフォルニア州のロナルド・レーガン大統領図書館落成式には、当時のブッシュ大統領のほか、ニクソン、カーター、フォード元大統領とレーガン前大統領が出席
  • 1994年――カリフォルニア州で行われたニクソン元大統領の葬儀に当時のクリントン大統領のほか、フォード、カーター、レーガン元大統領と、ブッシュ前大統領が出席
  • 2004年――ワシントンの国立大聖堂で行われたレーガン元大統領の国葬に、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領のほか、カーター、ブッシュ元大統領とクリントン前大統領が出席
  • 2013年――テキサス州のジョージ・W・ブッシュ大統領図書館落成式に、当時のオバマ大統領のほか、ブッシュ元大統領とブッシュ前大統領が出席
  • 2017年――テキサス州のハリケーン被害復興作業に、オバマ前大統領、2人のブッシュ元大統領、クリントン元大統領とカーター元大統領が参加

1人を除き副大統領も集合

実は歴代の副大統領も集まっていたのだ。

息子ブッシュ政権の大統領報道官だったアリ・フライシャー氏は、「1977年以降の副大統領が1人を除いて全員、ブッシュ大統領の葬儀に参列している。モンデール、クエール、ゴア、チェイニー、バイデン、ペンス。いないのは1人だけ。レーガン大統領の副大統領だった、ジョージ・H・W・ブッシュ氏だけだ」とツイートした。

https://twitter.com/AriFleischer/status/1070350900521263106

(英語記事 George HW Bush funeral: Four presidents sat (awkwardly) on one pew

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-46463741

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