使えない上司・使えない部下

2018年12月12日

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Q 桑田さんは現役のころ、コーチやほかの選手と距離がある、と一部の雑誌や新聞では報じられているようでした。

西田文郎さん

 彼は、私にそんな不満などは一切言わなかったのですが、当時の報道では、たしかに桑田さんの考えを否定する人たちがいたようですね。桑田さんの意識や考え方、知識などのレベルがほかの選手やコーチ、監督などと比べると高すぎたのだと私は思います。

 彼が現役のころ、試合や練習などについて言っていたことの多くは正しい、と私は思っていました。しかし、その考えや言い分が当時のプロ野球界で必ずしもすべて受け入れられたわけではないのかもしれません。

 私のスポーツ選手のメンタルトレーニングの経験をもとにいえば、プロ野球に限らず、日本のスポーツで監督やコーチをしている人のマネジメント能力は概して低い傾向があるのです。

 たとえば、プロ野球の監督の中にも、様々な意味でだめだなと思える人がいます。こういう監督は、得てして自分よりも賢い選手を認めない傾向があります。中には、「俺の言うことを素直に聞く奴こそが、いい選手」と考えている監督もいるようです。あるいは、「俺より賢くて、俺の言うことをきちんと聞く奴だったら、ナンバー2にするのに最適」と思っている監督もいると聞きます。

 こういうレベルの監督やコーチから「俺よりも賢くて、俺の言うことを聞かない優秀な奴」とみられると、なかなか認められないのです。それが、今までの日本のスポーツ界だったのです。

Q 現役のころから桑田さんの見識は、ほかの多くの選手とは違うように私には見えました。数年前の報道では、桑田さんはスポーツ界の体罰について厳しい見方をされていましたね。

 私が面識をもったころから、桑田さんは学校やプロスポーツでの体罰に一貫して強く反対をしていました。おそらく、私と会う以前から反対の立場だったのでしょうね。

 彼のこういう見識は、当時のプロ野球界では広くは認められなかったのかもしれません。しかし、社会では早いうちから、特に意識の高い人たちに認められていました。これからの時代は、「桑田さんの言い分は正しい」ともっと広い層で受け入れられるはずです。

 これは私の考えですが、一部の高校野球の監督を見ていると、「鍛える」と称して今なお、平気で生徒を殴っています。なぜか、自分の子どもには殴らない。殴ることで選手が鍛えられ、上達する、つまりは「教育」になると信じているのならば、親として、まずはご自身の子どもを殴るべきでしょう。殴るべきは、自分の子どもではないでしょうか。それで、「教育」の効果などを考えたほうがいい。それができないのならば、生徒を殴るべきではないと私は思います。

 最近では、女子のレスリングや体操でも、体罰をはじめとしたパワハラが問題視されました。若い選手の意識が少しずつ変わりはじめているのだ、と思います。監督やコーチなどの指導者層の意識や考え方、マネジメントも変えていかざるを得なくなるはずです。私は30年以上前から、日本のスポーツ界のリーダーたちにマネジメント能力が乏しいことを問題視してきました。その意味でも、桑田さんのような指導者がもっと増えるべきなのです。

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