WEDGE REPORT

2018年12月11日

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 「ファルカンが挑発を繰り返して対戦をアピールしていたのは、あくまでも村田がWBA王者だったからの話だ。王者でなくなり、しかも旨味のある相手ではなくなった村田とはいくらロンドン五輪の再戦というテーマがあったとしてもペイパービューで多くのカネを集められるような興味の対象にはなりにくいだろう。それにファルカンはブラジル人でブラント以上にボクシングの聖地・ラスベガスのリングで一本立ちできるような存在になりたいという願望が強い。

 アメリカンドリームをつかむ上で今や米国内で評価急落の村田との対戦は、もはや視界に入っていないのが現状だ。トップランク社側としてもファルカンが栄冠に輝けば、一気に無敗王者として〝ポスト・カネロ〟としてさらに商品価値を高めていこうとする。村田に構っているヒマはなくなるに違いない」

 おそらく村田も、こうした厳しい状況を把握しているからなのだろう。現役続行を表明した会見の場ではメディアに対し「ブラントにも、階級にもこだわりはない。世界の流れを見て決めたい」と口にしている。

村田が入り込む余地はあるのか?

 とはいえ、視野に入れている1階級上のスーパーミドル級転向も32歳の村田が一から実績を作って世界挑戦を狙うシナリオは余りに非現実的だ。しかもスーパーミドル級はスーパースター・カネロがミドル級2冠のまま転向を表明し、3階級制覇を目指して今月15日にWBA同級王座に挑む。巨額のファイトマネーとなるカネロとのマッチアップを他の各団体の同級王者たちも喜んで受け入れる流れは想像に難くなく、そこに村田が入り込む余地などまずありそうもない。

 現在の村田は最新のミドル級世界ランキングでWBA7位、WBC6位、IBF7位。だが主要4団体の1つであるWBOからは除外された。3団体では15位以内でとりあえず挑戦の権利があるとはいえ、何とも微妙な立ち位置であることは否めない。いくら挑戦圏内とはいっても、王者たちに見向きもされなければランクインも単なる宝の持ち腐れである。

 「村田をバックアップしているフジテレビと電通が、どれだけビッグマネーを用意できるかという点にもかかってくるだろう。ただ、ここまでプロデビューから相当な額を継ぎ込んできただけにもうさすがに青天井というわけにはいかない。しかもスーパースターの道のりを着実に歩んできた今までと違って、かなり致命的な完敗を喫した後に再び同じような形で投資出来るかとなると、かなりのリスクを伴ってしまう危険性も出てくる。

 それでもフジテレビと電通の立場からすれば、ここで村田に辞められてしまっては今までバックアップしてきた意味がなくなってしまう。だから村田の現役続行は大歓迎しているもののマッチメイクの面で苦慮する帝拳プロモーション同様、裏側で非常に難しい舵取りを強いられているはずだ」(前出の事情通)

 やや乱暴な言葉を向けるボクシング関係者からは「村田は結局、ブラントに世界戦で敗れたファルカンと来年秋辺りに〝ロンドン五輪の因縁リマッチ〟としてノンタイトルの再起戦が組まれるような予感がする。そしてサウスポーのファルカンに太刀打ちできないまま敗れ、それで次こそ本当に引退を決意するんじゃないか」との声も聞こえてくる。

 もしかしたら村田の本音としては心のどこかで辞めたい気持ちのほうが強かったのではないだろうか。現役続行を選んだのは、やっぱり自分をサポートし続けてくれているスポンサーへの配慮なのではないか――。再起への「イバラの道」を予想すると、どうしてもそう思いたくなってしまう。

  
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