2024年4月23日(火)

World Energy Watch

2018年12月13日

フランス国民はなぜ憤ったのか

 燃料、ガソリンとディーゼル油に対する炭素税導入は2013年に決まり、2014年から二酸化炭素1トン当たり7ユーロのレベルの炭素税が導入された。二酸化炭素価格は毎年引き上げられることが決まっており、各年の価格も決まっていたが、その後目標価格は2度引き上げられ、いまは2018年44.6ユーロ、19年55ユーロ、20年60.4ユーロとなっている。

 2018年炭素税により、ガソリン価格は1リットル当たり3.9ユーロセント、ディーゼル油7.6ユーロセント上昇している。2019年1月からの炭素税による値上げ予定額はガソリン2.9ユーロセント、ディーゼル油7.6ユーロセントであり、2018年実績額より小さい。それにもかかわらず、フランス国民が怒った理由は二つありそうだ。

 一つは、ガソリンとディーゼル油価格が2014年の炭素税導入直後から下落を続けたため、税上昇が消費者には見えにくかったが、2018年燃料価格は高止まりを続け税上昇の影響が見えたことだ。12月上旬のガソリン価格は1リットル当たり1.45ユーロ、ディーゼル油は1.44ユーロ、共に約190円だ。欧州内では北欧諸国などフランスより高価格の国があるが、欧州内でも、世界的にみても諸税のためフランスの燃料油価格はかなり高い。

 欧州委員会の資料では、ガソリン価格のうちフランスでは64%が税だ。イタリア、スウェーデンと同率だが、英国63%、ドイツ59%、スペイン54%より高い。ディーゼル油では、フランスの59%は英国と同じだが、イタリア58%、スウェーデン49%、ドイツ50%、スペイン47%より高く、欧州主要国中最高の税率だ。


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