WEDGE REPORT

2011年9月2日

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溝口 敦 (みぞぐち・あつし)

ノンフィクション作家、ジャーナリスト

1942年東京生まれ。主として日本社会の暗部である暴力団や新宗教に焦点をしぼってジャーナリスト活動を続ける。『食肉の帝王―巨富をつかんだ男浅田満』で第25回講談社ノンフィクション賞受賞。『ヤクザ崩壊 侵食される六代目山口組』『細木数子 魔女の履歴書』(ともに講談社プラスアルファ文庫)、『山口組動乱 2008~2011 司忍六代目組長「玉座復帰」の光と影』(竹書房)など著書多数。

 大阪府警は07年6月、渡辺氏を詐欺恐喝容疑で逮捕した際、渡辺氏の携帯電話を押収した。おそらく05年に携帯電話を買い換えたのだろう。押収した携帯には05年6月から07年6月までの間、紳助氏と交わしたメール106通が保存されていた。これが証拠となり、紳助氏が渡辺二郎氏を介して、いかに橋本会長に心酔し、深く交際していたか、如実に示すことになった。

 他方、橋本会長も05年6月競売入札妨害容疑で大阪府警に逮捕され、06年3月にも詐欺未遂容疑で逮捕された。会長宅の家宅捜索も併行され、橋本会長とのツーショット写真や紳助氏直筆の礼状なども押収されたようだ。橋本会長が逮捕された際、紳助氏は「会長心配です! ほんま警察むかつきますね!」などとのメールを渡辺氏に送っている。

 メールについては大阪府警捜査四課が解析、調査し、報告書にまとめている。検察側がこの報告書を裁判所に提出したため、府警ルートか弁護士ルートでメールが流出したと推測されている。

 吉本興業もメールを入手し、その重大性に気づいた。メールを突きつけられれば、紳助氏と橋本会長との交際を否定できない。それで紳助氏に事情聴取したわけだが、紳助氏は橋本会長との交際を否定せず、それが問題になるなら、芸能界を引退すると言い切ったと推測される。

 吉本興業にすれば、できるなら紳助氏に交際を否定してもらいたかったはずだが、紳助氏は情報はウソだと否定しなかった。せめて「今後は橋本会長との交際を断つ」ぐらいは言ってほしかっただろうが、それも紳助氏は拒否した。これにより紳助氏を謹慎処分にしてほとぼりの冷めるのを待ち、芸能界に復帰させるルートは断たれた。

引退後の行く末は・・・

 紳助氏は極心連合会・橋本会長と絶交するとは約束できなかった。10数年前の街宣車騒ぎのとき、丸く納めてくれたのが橋本会長である。紳助氏は「大恩ある橋本会長に手のひら返しはできない」と判断したのだろうが、もう一つ恐怖心も働いたはずだ。

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