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2011年9月2日

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溝口 敦 (みぞぐち・あつし)

ノンフィクション作家、ジャーナリスト

1942年東京生まれ。主として日本社会の暗部である暴力団や新宗教に焦点をしぼってジャーナリスト活動を続ける。『食肉の帝王―巨富をつかんだ男浅田満』で第25回講談社ノンフィクション賞受賞。『ヤクザ崩壊 侵食される六代目山口組』『細木数子 魔女の履歴書』(ともに講談社プラスアルファ文庫)、『山口組動乱 2008~2011 司忍六代目組長「玉座復帰」の光と影』(竹書房)など著書多数。

 絶交を宣言すれば、橋本会長が間違いなく怒る。今まで庇護してくれた人間が紳助氏の態度の急変に「汚い野郎だ」と、敵に変わりかねない。このことがなにより紳助氏には恐ろしかったはずだ。

 つまり紳助氏は芸能人としての生活を取るか、橋本会長との交際の継続を取るか、2つに1つの岐路に立たされた。結果として選んだのが芸能界引退であり、一般人として心置きなく橋本会長と交際を続ける道である。

 幸か不幸か紳助氏には40億とも伝えられる資産があり、飲食店の経営など事業家としても成功している。紳助氏が結果として交際の継続を望んだ以上、橋本会長は手厚く紳助氏を遇するにちがいない。渡部二郎氏と同じく極心連合会の相談役に据えるかもしれないし、客分として迎えるかもしれない。

 極心連合会は山口組の直系組の中でも有力組だが、今はどの組も経済的に詰まっている。紳助氏はすでに芸能人ではなく、極心連合会に理解を示す事業家でしかない。極心連合会が紳助氏からカネを融通してもらうことを遠慮する理由はない。まして紳助氏には大きな貸しがあるのだ。

 紳助氏が強調するように橋本会長が善意の人であっても、暴力団経済は、食える者は食うという弱肉強食の論理で動いている。紳助氏がカネを握るかぎり暴力団社会で大事にされるだろうが、カネがなくなれば価値はゼロである。紳助氏は暴力団社会にかなり親近感を持っているらしいが、悲しいかな、彼直属の暴力要員を持たない。暴力団の内側に入ったからには理不尽な要求をはねのけられるのは暴力しかなく、その意味で彼は非力である。大阪府警に助けを求めても、「むかつく」といわれた府警が紳助氏に味方するはずもないのだ。

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