世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年12月21日

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 米国のポンペオ国務長官は、12月4日、ベルギー、ブラッセルの独マーシャル基金において、「自由主義的国際秩序における国民国家の役割を再構築する」と題する演説を行なった。その要旨を以下に紹介する。

(vesilvio/Yuriy Bashkirev/Flory/Delpixart/iStock)

・第二次世界大戦後、マーシャル国務長官は、米国のリーダーシップによって、新制度を設立して、欧州と日本を再建した。通貨は安定し、貿易は促進された。NATOによって安全保障も守られた。自由と人権という西側の価値も条約に盛り込まれた。そして、我々は冷戦に勝ち、平和を得て、ドイツは統一された。

・しかし、冷戦終結後、自由主義秩序は浸食され始めた。国連や地域機関等の多国間主義はどうだろうか。EUは欧州を繁栄させ、米国もその恩恵を受けているが、今はBrexitの問題等、政治的警笛が鳴らされている。

・結局、我々のリーダーシップの欠如が、悪人の得になってしまっている。

・中国の経済発展は、民主主義にも地域の安定にも結び付かなかった。中国は、国内では政治的弾圧、地域内では挑発を行なうようになった。WTOの抜け穴を探し、市場への規制、強制的技術移転及び知的財産窃取を行なっている。そして、中国は、オーウェル風人権侵害を、国際世論が止められないことを知っている。

・イランは、テロリストや独裁者を支援している。多くの米国人が人質となり、ボヴ・レビンソンは11年間行方不明のままである。イランは国連安保理決議に違反して弾道ミサイル実験をしたり、IAEA(国際原子力機関)の査察官をだましたりした。

・ロシアは、自由や国際協力という西側の価値を有していない。反対の声を弾圧し、主権国家、グルジアやウクライナを侵略した。外国の領土で軍事使用の神経剤を使い、化学兵器禁止条約に違反した。また、長年、INFに違反してきた。

・トランプ大統領は、米国が、再び世界で指導的役割を担うようにしたいと思っている。我々が設立した国際組織に対して、我々が担うべき責任を忘れてしまっては、他の諸国がそれら組織を濫用するようになる。イランや中国は、国際秩序を浸食していながら、トランプのせいで制度が破壊されたと批判する。

・我々の使命は、主権を再度主張し、自由主義の国際秩序を再建することだ。トランプ大統領の下、米国は、国際的指導力も国際システムにおける友人も見捨てるつもりはない。具体例の1つに北朝鮮問題が挙げられる。米国の指導力に多くの諸国が賛同して、共に北朝鮮に制裁を課すことができた。

・国際機関は、安全保障や自由世界の価値を強化するための協力を促すものでなければならない。そうでなければ、改革ないし廃止されるべきだ。

・米国は、気候変動のパリ協定から脱退する意向を表明した。現在の協定では、米国からお金を巻き上げ、中国のような公害を出す国が潤うことになる。

・我々はイラン合意から方向を変更した。今のままでは、同盟諸国を危険にさらす。イランは合意の精神を踏みにじっているし、国際テロを支援している。新たな官僚組織はいらない。連合(コアリション)を形成して、イランの脅威に対処しよう。

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