定年バックパッカー海外放浪記

2018年12月23日

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高野凌 (たかの りょう)

定年バックパッカー

1953年生まれの62歳。横浜生まれ、神奈川県出身。大学卒業後は商社、メーカー勤務を経て2013年定年退職。2014年春から海外放浪生活を始める。放浪歴は地中海、韓国、インドシナ半島、インドネシア、サンチアゴ巡礼など。サラリーマン時代は主として海外業務に従事。ニューヨーク、テヘラン、北京にて海外駐在を経験。身長170センチ、57キロ。獅子座。A型。現在2人のご子息は独立し、夫人との2人暮らし。孫1人。

クリスマスのオートキャンプ場はお一人様ばかり

 欧米社会ではクリスマスの時期はお店が閉まってしまい、旅行者は侘しく不便な思いをすることになる。スコッツデールという山間の田舎町に25日から3泊してクリスマスシーズンをやり過ごした。町外れの広大な自然公園の一角に無料の公営オートキャンプ場があった。これ幸いと事前に田舎のスーパーで四日分の食料・ビール・ワインを買い込んで湖畔でキャンプ。

 キャンプ場はトイレ、水場、コイン式温水シャワー、コインランドリー、無料電気ホットプレートBBQ施設などが完備。改めてオーストラリアの豊かさを実感。

 家族持ちは自宅でクリスマスを祝うのが一般的なのだろう。数組の老カップルもいたが、総じてキャンプ場には独り者が多かった。キャンピングカーで旅行しているお一人様の老人が半分近い。真夏なので日光浴したり木陰で本を読んだりと各自それぞれ静かに過ごしている。

64歳のオジサンは“セクシー”?

タスマニア北海岸には洒落た別荘がポツンポツンと建っている

 毎日BBQハウスで肉や野菜を焼いて食事をしていると次第に顔見知りが増えてくる。そのうちに二人のご婦人と親しくなった。二人は離婚経験者(divorcee)であり、それぞれキャンピングカーでぶらぶらと旅行している。

 ヘレンは50台半ばのようでバツ二、ジーンは60台であろうか、正式の結婚は一回だが同棲して別れた彼氏が何人かいたようだ。欧米人は男女を問わず恋愛遍歴をあけすけに語る。彼女らも得意げにゲラゲラ笑いながら話す。そして別れた相手の男をこき下ろすのである。

 最後の晩に三人で夕食後お喋りをしていた。明日出発することを告げると、ヘレンがオジサンに向かって「貴方がいなくなると寂しい」(I will miss you)と言ってから大袈裟に「貴方はすごくセクシーよ」(You are so sexy)とのたまわった。白髪頭の痩せこけた64歳のオジサンに対する評価としては大変な違和感があった。ジーンも負けじと「貴方って本当にセクシーだわ。貴方と結婚したいわ」と畳み込んできた。

 豪州英語ではセクシーは“面白くていい人”という語義ではないかと推測した。

最寄りの歯医者はなんと80キロ先の町!

ワインヤード付近の丘の上のケシ畑。一面に白いケシの花が咲いている。麻酔薬等の原料として栽培されている。周囲は立ち入り禁止区域

 12月27日。数日前から食事のたびに右下の奥歯に痛みを覚えていたが次第に悪化してきた。スコッツデールの観光案内書で歯医者を探してもらうと、80キロくらい離れた東海岸のセントへレンズの歯医者が最短距離とのこと。

 電話で予約してもらうと翌々日の29日午前中が今年最後の診療時間とのことで午前10時必着とのこと。それから年末年始休暇に入るという。

 翌日28日にスコッツデールからセントへレンズまでを一日で走破しなければならない。地図でルートをチェックすると、スコッツデールからセントへレンズまでの約80キロのうち20キロくらいは急峻な山岳道路のようだ。

 折り畳み自転車に荷物を満載した状態ではペダルを漕いでは登攀できず押し歩きの連続となってしまう。地元の人々に意見を聞くと炎天下の強行軍は不可能(impossible)とのご託宣。

 地図を子細に点検したところ、大きく迂回して30キロくらい森林地帯の林道を行くルートがあるようだ。ざっと概算すると100キロ超となるが、他に方法はない。

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