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2018年12月21日

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英ロンドン・ガトウィック空港がドローン(小型無人機)による妨害で閉鎖している問題をめぐり、警察はドローンの撃墜も「戦術としてあり得る選択肢」だとしている。

ガトウィック空港は19日午後21時(日本時間20日午前6時)以降、2機のドローンが「敷地のフェンスを越え、滑走路に侵入」したため、閉鎖を余儀なくされている。

ドローン撃墜については、地元のサセックス警察が以前、「流れ弾」を懸念して除外していた。

しかし同空港が21日も閉鎖される見通しとなったことから、ジェイソン・ティングリー刑事警視長は、警察として「あのドローンを空から排除するため、できることをするつもりだ」と話した。

この問題をめぐっては、イギリス陸軍が警察の支援のために派兵されている。

ガトウィック空港のクリス・ウッドルフ最高執行責任者(COO)によると、19日の滑走路閉鎖以降、ガトウィックを出発予定で影響を受けた利用客は12万人に上る。

「21日に空港を再開できないか、今晩中に協議する」とウッドルーフCOOは話した。

「しかし、21日閉鎖も含め、あらゆる緊急対応策を策定している」

「しばらく閉鎖の見込み」

20日午後9時半(日本時間21日午前6時半)の記者会見でウッドルフ氏は、事態はなお「流動的」で、わずか1時間前にもドローンが目撃されたばかりだと話した。

警察はドローンといたちごっこを繰り返しており、19日の夕方からすでに約50件のドローン目撃情報を受理したという。

現時点で逮捕者は出ておらず、ドローンの操縦者が見つかるまで、空港は「しばらく」閉鎖される見通しだ。

また21日にガトウィック空港を利用する予定の人には、事前に航空会社に確認を取るよう呼びかけている。

ティングリー警視長は、警察は問題のドローンの販売元やモデルなどを特定していないものの、空港の運営を妨害するために「開発・改良」された疑惑があると話した。

一方で、ドローンの大きさなどから「いくつかの特徴」を割り出しており、ドローンの写真を持っている人は警察に連絡してほしいと呼びかけた。

ドローン確保の他の手段が失敗に終わったため、警察は撃墜計画を再考しているとティングリー警視長は明らかにした。

さらに警察は現在、「特定のグループ」や「多数の参考人」などについて、捜査していると話した。

ギャヴィン・ウィリアムソン国防相は、20日夕方にこの問題をめぐって兵士を派遣したことを認めた。

ウィリアムソン氏は、軍隊には「幅広い特有の能力」があるので、「一刻も早く空港が再開できるよう、軍として最善を尽くす」と話した。

また、クリス・グレイリング運輸相は、「もしガトウィック空港がすぐに再開できない場合には、乗客が他の空港から出発できるようあらゆる手段を講じる」と述べた。

グレイリング氏は犯人逮捕が間近なのかは明らかにしなかったものの、「(問題解決に向けて)大々的に取り組んでいる。最新の技術、特別な技術をガトウィック空港に投入してドローンの追跡に当たっている」と付け加えた。

これまでの状況

ガトウィック空港は19日午後21時(日本時間20日午前6時)以降、2機のドローンが「敷地のフェンスを越え、滑走路に侵入」したため、閉鎖を余儀なくされている。

滑走路は20日午前3時1分に一時的に再開したものの、45分後には「さらにドローンが目撃」されたため、再び閉鎖した。

ドローンはその後、20日を通じて目撃されていた。

現在、地元のサリー警察とサセックス警察から合わせて20の捜査部隊が犯人を追っている。犯人は最大5年間の禁錮刑を科せられる可能性がある。

サセックスとサリーの武装警察を統括するジャスティン・バーテンショウ警視は、ドローンを動かしている何者かを捕まえるのは、「犯人の居場所の特定が難しい」ため「骨が折れる」試みだと話した。

「犯人に近付いたと思うたびに、ドローンは消えてしまう。空港を再開しようと思うとドローンが現れる」

サセックス警察は、情報提供を呼びかけたことで通報が殺到しているものの、「ドローン操縦者の身元や居場所に的を絞った」情報を持っている人に警察に連絡するよう呼びかけている。

利用客への影響は?

20日夜には約1万人が影響を受けた。ガトウィック空港によると、21日に同空港で発着を予定していた利用客は11万人だった。

ガトウィックに到着する予定の旅客機はロンドンのヒースロー空港やルートン空港のほか、バーミンガム、マンチェスター、カーディフ、グラスゴーといったイギリス国内の空港、さらにはパリやアムステルダムに到着地の変更を余儀なくされた。

ガトウィック空港のターミナルは、21日朝から最新の情報を得ようとする人であふれた。一方、出発予定の旅客機の中で数時間待たされた利用客もいた。

BBCが取材した中では、ハネムーンでニューヨークに行く予定のカップルや、フィンランド・ラップランドに発つ予定だった7歳の男の子も、機内で待機させられた。

ジェフリー・グローヴさん(42)は、米ボストンからガトウィックへ向かう飛行機に乗っていたが、飛行機はパリ=オルリー空港に着陸し、そのまま機内で待たされた。

グローヴさんによると、この飛行機では乗客は数時間、機内で待たされ、降りることが許されなかった。

「空調がなかった。とても暑かったので、子どもたちは服を脱がなくてはならなかった」とグローブさんは話した。

ガトウィック空港の広報担当者は、空港は職員を増員し、利用客に食料や水を提供するなど「最善を尽くしている」と説明。また、取り残された乗客のために深夜も空調を付けておくと明らかにした。

イギリスの民間航空管理局(CAA)はこの問題を「非常事態」と判断し、航空会社が賠償金を支払う必要はないと述べた。

一方、イギリスの消費者権利団体「Which?」のアレックス・ニール氏は、利用者は「食料や飲み物、ホテル、交通手段などを得る権利がある」と指摘した。

空港とドローン:イギリスの法規制は?

イギリスでは、空港やその敷地から1キロメートル以内でのドローン使用は違法とされている。また、有人航空機との接触の危険性があるため、ドローンを高度120メートル以上に飛ばすことも禁じられている。

航空機の安全を脅かす行為は犯罪で、5年の禁錮刑となる可能性がある。

ドローン人気が高まる中、ニアミスなどドローンが原因の航空機の異常事態はここ数年で急増している。

2013年にはゼロ件だったドローンをめぐる航空機のトラブルは、昨年には100件に増加した。

グレイリング運輸相は、ドローンの問題は世界中で起きているものの、ガトウィック空港での事態は「これまでイギリスが経験したことのない出来事」だと話した。

その上で、イギリス政府はドローン規制を「強化」する方針で、利用者の年齢制限なども視野に入れていると明らかにした。

「(ガトウィックと)同じことをたくらむ者は、長いこと刑務所に入ることになるだろう」

イギリスの航空安全評価団体「UK Airprox Board」は、ドローンによる事案を検討し、全報告内容を記録している。

たとえばマンチェスター上空では昨年、旅客機の操縦士が「サッカーボール大の」赤いドローンが、機体のすぐ左脇を通り過ぎていくのを目撃した。

また、グラスゴー空港を出発した航空機がドローンとニアミスしたこともあった。この事件ではニアミスの3秒前に警告が発せられ、「回避行動に移る時間はなかった」と操縦士が証言している。

(英語記事 Police 'could shoot down' Gatwick drone

提供元:https://www.bbc.com/japanese/46643482

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