メイドインニッポン漫遊録 「ひととき」より

2019年2月4日

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いであつし (いで・あつし)

コラムニスト

1961年、静岡県生まれ。コピーライター、「ポパイ」編集部を経て、コラムニストに。共著に『“ナウ”のトリセツ いであつし&綿谷画伯の勝手な流行事典 長い?短い?“イマどき”の賞味期限』(世界文化社)など。
 

夢は琵琶湖で育てたグースのダウン

 さっそく2階の工場を見学させてもらう。モンゴルやベトナムからの実習生も働く縫製場では、寝袋で使う防水性と透湿性に優れた特殊な生地をミシンでカタカタと丁寧に一枚一枚、ダウンウェアにと縫い上げている。

(写真左)羽毛価格の高騰、海外からの実習生の育成、生産体制の強化など課題は多いながらも、メイドイン滋賀ダウンブランドとして知名度も高まり、今シーズンは工場も社員もフル稼働
(写真右)ダウンの品質見本。ダウンとはグース(鵞鳥)とダック(家鴨)の羽毛で、柔らかなグースの比率が多いと保温性に優れ、硬いダックの比率が多いと弾力性があり回復力も高い
ホースで吸い上げられた羽毛の量を丁寧に測りながら手で詰めるパッキング作業

 ナンガの強みは何といっても国内生産だ。使用するダウンも、ポーランドやハンガリー産の最高品質を扱う三重県の羽毛素材メーカーから直接仕入れる。高度な洗浄技術で埃や汚れを落とした羽毛を、工場で職人が手で触って品質を確認しながら詰める。手で触って品質の良しあしがわかるのは、長年の羽毛の取り扱いに長けた寝袋メーカーならでは。

 「まさに下町ロケットのロケット品質ならぬ、これぞナンガの寝袋品質ですよね」と言うと、「そうですね」と照れ笑いする智之さん。

 智之社長の壮大なる夢は、いつか琵琶湖の畔(ほとり)で育てたグース(鵞鳥)の羽毛で正真正銘の滋賀ダウンをつくること。ナンガの頂はまだまだ高くて険しいのだ。でもとってもあったかいんだから。

ナンガ周辺散策
(写真上左)ウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計に携わった醒井宿資料館(旧醒井郵便局局舎)。大正4年(1915)の建築 ☎0749-54-2163
(写真上中央)伊吹山文化資料館に展示されていた薬草とともに入る蒸し風呂。山麓の宿で使われていた ☎0749-58-0252
(写真上右)いぶき薬草湯(伊吹薬草の里文化センター内)にて。11月~3月は土・日曜とそれに連続する祝日のみの営業でこの日はお休み、残念 ☎0749-58-0105 
(写真下左、中央)うまい! 伊吹ハム。筆者がかぶりつこうとしているフランクフルトは230円、山椒ソーセージは880円 ☎0749-58-1120
(写真下右)琵琶湖に落ちる夕日。豊〈ほう〉公園の近くから

(写真・阿部吉泰) 

●株式会社ナンガ
<所在地>滋賀県米原市本市場182-1
☎0749-55-1016
<URL>https://nanga.jp/

  
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◆「ひととき」2019年1月号より

 

 

 

 

 

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