海野素央の Love Trumps Hate

2018年12月25日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

ジュリアーニの大失言

 ジュリアーニ氏は同政治番組の中で、コーエン被告の忠誠に関する議論を封じ込めようとして、同被告がトランプ大統領とのやり取りを録音した問題を取り上げました。そのうえで、コーエン被告の人格攻撃を始めたのです。

 「(コーエン被告は)トランプ大統領に忠実でははく、自分に忠実であった。自分の保身ばかりを考えている。減刑のためにあることないことを言いふらす」

 ところがモスクワにおける高層ビル建設プロジェクト、いわゆるトランプ・タワー・モスクワ建設の時期について司会者から質問をされると、ジュリアーニ氏はつい口が滑ってしまったのか、新たな情報を提供してしまったのです。

 コーエン被告はトランプ・タワー・モスクワ建設の交渉は、2016年1月に終了したと米議会に虚偽の証言をしました。その意図は、ロシアとの交渉は、米大統領選挙が本格化する前に打ち切ったので、トランプ陣営と同国との接触はなかったという誤った印象を与えることだったのでしょう。

 後に、コーエン被告は大統領選挙期間中の2016年6月までロシアとトランプ・タワー・モスクワ建設交渉を継続していたことを認めました。トランプ大統領は同年4月に外交政策に関する演説を行い、ロシアに対して融和的な政策を示しています。

 話を戻しましょう。ジュリアーニ氏は、トランプ・タワー・モスクワ建設の交渉時期に関して、次のように回答しました。

 「2016年11月まで続いていた」

 これこそが最重要証言です。

 米大統領選挙終了まで、ロシアとの交渉が継続していたのです。選挙期間中も、トランプ大統領はコーエン被告からロシアとの交渉の経過報告を受けていたとみて、まず間違いないでしょう。トランプ氏がロシアに対して融和姿勢を示してきた本当の理由が明らかになってきました。

 これは実に深刻な問題です。ロシアはこの2年間、トランプ大統領がトランプ・タワー・モスクワ建設交渉の時期について、嘘をついて隠蔽してきた事実を把握していました。トランプ氏の弱みを握っていたわけで、それがロシアに有利に働いた可能性があるからです。

 これを機に、トランプ大統領は国民を欺瞞して勝利した大統領であり、合法的ではないという声が高まるのか、そこに注目です。

  
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