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2018年12月27日

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小川たまか (おがわ・たまか)

フリーライター

1980年東京生まれ。教育、働き方、性暴力などを取材。『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(2018年/タバブックス)。Yahoo!個人「小川たまかのたまたま生きてる」(https://news.yahoo.co.jp/byline/ogawatamaka/)などで執筆。Twitter:@ogawatam

子どもは親の言うことを聞くようにデザインされていない

――というと?

『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』(池谷裕二、クレヨンハウス)

池谷:おっぱいをあげる1年間は母親が子どもを見ている。でもその時代だと、母親1人で10人ぐらい子どもを産んでいますから、授乳期が終わる頃にはまた次の子を妊娠している。上の子は誰が見ていると思いますか?

――子どもですか……?

池谷:そうです、お兄ちゃんお姉ちゃんです。そもそも親は子育てするように生物学的にデザインされていないし、子どもも親の言うことを聞くようにデザインされていない。基本的に子どもは親より友だちやお兄ちゃんお姉ちゃんの言うことを聞きます。

――「そもそも子どもは親のことを聞くようにデザインされていない」と聞くと、イヤイヤ期や反抗期があって当たり前かもと思えてきます。池谷さんは小さな頃から子どもを保育園に預けることには……?

池谷:本でははっきり書いていないのですが、賛成です。うちの子も保育園ですから。早いうちから保育園に入れたほうがいいと思います。でも自分でしっかり育てたい方針の親御さんもいますから、そのあたりはね(笑)。

――子どもは親より子どもから影響を受けるというのは面白いですね。

池谷:もし私が子どもを連れてアメリカに行ったら、子どもは日本語より英語が上手になります。小学校3年生ぐらいまではそうだと思います。何を意味しているかというと、子どもは親とのコミュニケーションより、友だちとのコミュニケーションを重視するということです。

「女は感情的」と決めつけることが感情的

――医学部入試での女性差別も話題になりました。

池谷:(女性が医者に向いていないのかどうかについては)何年も前にアメリカで話題になっていて、徹底的に調べられています。結果的に患者の死亡率が女医のほうが低いというデータがあります。患者さんと話すのも女性の方がうまい。

――週刊現代は「女性医師の手術はいやだ」という特集を組みました……。

池谷:とんでもない話です。「日本は想像している以上に後進国だったね」と、海外から恥ずかしい取り上げられ方をしていますよ。よく「女性の方が感情的」という言い方もありますが、そのようなこともありません。

――「女は感情的、男は論理的」は科学的に言っても正しくない?

池谷:男女差より、個人差の方がはるかに大きい。あえていうと、男性のほうがコミュニケーションが若干下手です。もちろん、だからといってそれを差別の理由にして良いわけではないですが。コミュニケーションが下手だと、ルールを作ります。微妙な空気を読むのが苦手だから、杓子定規にルールや法律をつくって、「これで全部やっていこう」とする。ルールに則っているから自分たちは合理的だと思っている。でも、ルールを必要としている時点でアホなのです。

――厳しいですね。

池谷:女性の場合、ルールではなく空気を読んでうまくやろうとする。男性から見ると女の人のやり方はルールもないままにやっているように見えて、「お前ら感情的になるからいけない」と。でも「感情的にやるな」という考え方自体が感情論なのです。「女は感情的だ」と一方的に決めつけることがすでに感情論です。

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