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2018年12月31日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 首都圏のマンションはどうなるかについて、専門家にインタビューしてきた。今回は中長期的な視点も加えながら東京の将来を考えてみたい。予想されている中で確実なのが、東京都の総人口が2025年の1398万人をピークに減少に向かうことだ。地方から人口を吸収して発展してきた巨大都市・東京が、日本の人口が減っていく中で果たして輝き続けられるのかどうか。現状は、湾岸部でタワーマンションの建設が続くなどマンションの建設の勢いは衰えてないが、首都圏の経済成長が鈍化してくれば、供給過剰になり空き家だらけオフィスやマンションが林立する「虚大都市」化のリスクが高まる。

(Shin/Gettyimages)

「国際金融都市」

 都心の開発計画を見ると、2025年以降に完成するプロジェクトが目白押しで、オフィスビルがどんどん建つ予定になっている。みずほ証券の予測によると、東京オリンピックの終わった2021年以降も23区内では大規模開発が完成する見込みで、2022年~24年のオフィスビルの供給量は2017年の95万平方メートルを上回るとみている。

 これだけ増えるオフィスの需要を賄うために小池百合子東京都知事が推進しようとしているのが「国際金融都市 東京」だ。昨年11月にシンガポールで「東京版ビッグバン」を宣言し、「もう一度東京を活気ある国際金融都市にしたい」として、英国の金融街であるロンドンのシティとの間で覚書を締結した。かつてはアジアでナンバーワンの取引量を誇った東京の金融市場は、いまではその機能の一部をシンガポールや上海などに奪われつつある。この構想の実現が国際金融都市としての東京復活につながるかどうか注目される。

 人口が減少しても日本全体の経済活動を示す国内総生産(GDP)が増えれば、国力の勢いは維持できる。政府が5月に出した名目GDP予測によると、2040年度には18年度経済見通しの564兆円より4割増しの790兆円になるとはじいている。これが現実のものになれば、人口が減っても日本経済のエネルギーはそれほど落ちないだろうが、エコノミストによるとこの試算はかなり甘めの成長率を織り込んでいるという。

カギ握る外国人

 厚生労働省の発表によると、外国人労働者は128万人で、この5年間に60万人も増えた。雇用労働者数の約2%を占めており、農業、建設、外食産業ではなくてはならない労働力となっている。安倍政権は近く外国人労働者受け入れについての新しい方向性を打ち出すとしており、新しい在留資格の付与や、現在の資格の延長などが検討されそうだ。そうなると、これまでよりも長期滞在が可能になり、日本の生産人口の減少を下支えしてくれることになる。

 またインバウンド(訪日外国人)は今後も伸びると予測、2020年の4000万人は「射程距離」になり、8兆~10兆円の経済効果を期待している。2030年には6000万人という目標を掲げており、波及効果の大きい「第二の輸出産業」と位置付ける観光産業。インバウンドが果たしてどれだけお金を落としてくれるかも日本のGDPの行方を左右する。

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