テレ東・プロデューサーが語る「テレビサバイバル」

2019年1月4日

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小林史憲 (こばやし・ふみのり)

テレビ東京・プロデューサー

1972年、東京都生まれ。98年、テレビ東京に入社。報道局で警視庁記者クラブ、「ガイアの夜明け」、「カンブリア宮殿」などの番組ディレクター、プロデューサー。北京支局特派員。現在はコンテンツ事業局・海外ビジネス部副部長。ドラマやアニメをプロデュースしながら、海外へのコンテンツ展開を進めている。著書に『テレビに映る中国の97%は嘘である』(講談社)、『騒乱、混乱、波乱、ありえない中国』(集英社)。

「量で競わない」という生存戦略

 歴史を振り返るのにだいぶ紙面を割いてしまったが、テレ東に経済番組が多い理由は、つまるところ最初から戦略的だったわけではなく、地道に積み重ねた結果ということだ。

 ちなみに、これら経済番組はテレ東のブランドにはなったものの、他局の裏番組と比べて視聴率で上回っているわけでもない。放送回にもよるが、基本的にはテレ東の“定位置”にいる。

 一方で、視聴率では負けても、別の価値を持っているという事実もある。経済番組だけで構成している『テレビ東京ビジネスオンデマンド』という配信サービスだ。「ドラマやバラエティなど豊富なタイトルが見放題」という配信サービスが一般的な中、わずか数タイトルの経済番組に特化してサービスを運営しているのは異色の存在だろう。

 『ビジネスオンデマンド』は月額500円(税別)で、2018年12月現在、会員は約7万人。ちなみに、日テレが親会社の『Hulu』は会員約178万人(2018年11月現在)、テレ朝が出資している『AbemaTV』が3400万ダウンロード(2018年9月現在)なので、表向きの数字だけ見ると圧倒的な差がある。

 だが、これら他局のサービスは膨大な数の番組を揃えるために調達費用や制作費も莫大にかかっている。現状では赤字だ。他方で『ビジネスオンデマンド』の番組は自社制作のため経費があまりかからない。確実に利益を出しているのである。

 厳しい競争にさらされているテレビ業界で、竹槍戦法で戦うテレ東。一本一本の竹槍を磨くしか生き残る道はない。その竹槍の1本が経済番組といえるだろう。

  
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