2024年4月25日(木)

ビジネスパーソンのための「無理なく実践!食育講座」

2019年1月10日

太りすぎよりもやせすぎのほうが危険

では、実際には、ビジネスウイメンはどの程度の体重が好ましいのだろうか(美容上ではなく、あくまでも健康上の観点から)。女性と男性ではほんの少し数値が異なるのだが、一般的に寿命との関係でいうと(日本人の場合)BMI=22前後が、最も長生きする、と長い間いわれてきた。そのため、BMI=22を「理想体重」ということもある。

しかし、そのデータにはガンが考慮されていなかったなどの弱点も見つかり、近年では、やや異なる数値が用いられるようになった。その1つに、国立がん研究センター発表した大規模研究がある【※4】。これは、1つの研究ではなく、多くの研究をまとめたものだ(メタアナリシスという)。

対象となっているのは主として40歳以上の男女だが、BMIと寿命との関係では、「22がいい」というワンポイントの指摘ではなく、死亡率が最も低いのは、男性も女性も「BMIが21から27」であると「幅」で示してある。ここで気がついてほしいことは、上限の27という数値。これまでは健康にいいBMIの上限は25であった(糖尿病や高血圧症の学会が推奨するBMIの上限は、今でも25)。

自分のBMIだけは確認しておこう!

さらに、加えてもう1つの新しい注意点として、BMI27よりも上(肥満)の人よりも、BMI21よりも下(やせ)の人のほうが危険率が高いという事実があげられる。とりわけ女性の場合はその傾向がつよい、つまり太りすぎよりもやせすぎに注意するほうがいいということになる。

このデータはかなり信頼度が高いものだが、これを知ったからといってすぐにビジネスウイメンがダイエットを止めるとは考えにくい。ただし、1つだけ確実に実行してほしいことがある。それは、ダイエットをする・しないにかかわわらず、妊娠する可能性がある・ないにかかわらず、将来の骨折を心配する・しないにかかわらず、「自分のBMIだけは知っておいてほしい」ということ。自分の「肥満ややせの程度」を客観的に知らずに、食事制限をしたり偏りを正そうとしたりしても、健康的な結果が得られない。それどころか、逆に大きなリスクを背負ってしまうかもしれない。まずは「知ること」からスタートしよう!

スマホさえあれば簡単に計算できるのでもう一度書いておく。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

【※4】https://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/2830.html

  
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