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2019年1月3日

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米アップルは2日、2018年10月~12月期の売上高予想を下方修正し、840億ドル(約9兆1600億円)にとどまる見込みだと発表した。中国経済の低迷が原因としている。

アップルは昨年11月、10月~12月期の売上を少なくとも890億ドル(約9兆5400億円)になると予想。この時点ですでに、投資家からは落胆の声が上がっていた。

2日の発表を受け、アップル株は2日夕の米株式市場の時間外取引で急落。数時間で7%超下落した。昨年11月からは28%以上の下落となった。

年末年始に絡む10月~12月期は通常、アップルが最も好調な四半期のはずだが、840億ドルの売上高見通しが正しければ、前年同期から5%近い下振れとなる。前年同期比で売上高が減少すれば、2016年以来となる。

アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は2日の投資家向け書簡で、売上高に問題が生じた最大の要因は、香港や台湾を含む大中華圏の減速だと主張した。この地域の売上は、全体の20%近くを占めるという。

「主要新興市場である程度苦戦するのは織り込み済みだったが、特に大中華圏でこれほど経済が亜失速したのは予想外だった」とクックCEOは述べた。

ただしクック氏は、先進国市場でも問題があったと付け加えた。主力製品のスマートフォン「iPhone」について、最新機種に乗り換える消費者が予測を下回ったという。

2018年のアップル株価の推移

「高まる不確実性」

アップルが投資家向け業績予想を修正するのは、15年以上なかったことだ。

昨年11月に発表したアップルの業績見通しについてすでに投資家の不安感が高まり、株価は急落していた。今回の売上高下方修正は、市場の不安感を裏づけるものとみられる。

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部品供給大手が生産量を削減していることから、iPhoneの最新機種が消費者に支持されていないのではないかと懸念が出ていた。高価格が原因の一部との指摘もある。

アトランティック・エクイティーズのアナリスト、ジェイムズ・コードウェル氏は、「アップルの果敢な価格戦略が状況をどれぐらい悪化させたのか、そして長期的なiPhoneの価格設定力にどう影響するか。こうしたことが投資家の知りたいところだ」と述べた。

複数アナリストはさらに、米中の貿易紛争を前にアップルが脆弱(ぜいじゃく)だと強調した。米中関係の緊張悪化に伴い、米ブランドに対して中国の消費者心理が冷え込む可能性があり、このリスクが原因の一部という。

アップルは2日、貿易関係の悪化が消費者信頼感を損なったと述べた。

クックCEOは書簡で、「高まる不確実性の風潮が金融市場を圧迫するに伴い、その影響は消費者にも届いたようで、四半期が進むに連れて我々の小売店や中国の販売パートナーへの客足も減った」と書いた。

アップルは携帯電話の買い替えを今より簡単にするための対策を進めており、サービスを含む同社ビジネスの他部門は引き続き堅調だと、クック氏は付け加えた。

「業績予想の修正は残念だが、多くの領域で我々の業績は、難題があったにもかかわらず、素晴らしい力強さを見せた」とクック氏は書いた。


<解説> デイヴ・リー BBC北米テクノロジー担当記者

クック氏の投資家に対する発表内容を要約すると、以下のようになる。要因のいくつかはアップルの制御範囲内だが、いくつかはそうではない。

アップルはこれまで中国市場に強く依存して新規顧客を獲得してきたが、中国経済の成長減速という現実を前に、アップルももはや中国経済に頼れなくなった。米中貿易戦争もあいまって、事態はさらに悪化するかもしれない。

米政府による対中追加関税について一部のアップル製品への適用除外を獲得するなど、クック氏は積極的なロビー活動を展開してきたが、米中貿易紛争そのものについてクック氏ができることはほとんどない。

しかし、大事な要素はほかにもある。アップルを時価総額世界一の企業に押し上げた、驚くべきスマートフォン時代は、失速しつつある。それは前から分かっていたことだ。単に、アップルの予測より早まっているだけだ。前より長持ちする電池を搭載した、より高い品質と信頼性を備えた機種が普及した今、利用者は契約期間終了に合わせて是非とも上級機種に買い換えなくてはと必死ではなくなった。考えてみてもらいたい。最新iPhoneの、何が本当に新しかったのか? これと言えるものはあまりない。あっても足りない。

ではアップルは、iPhone以外の製品やサービスで現在の地位を維持できるのか? 同社はかねてから、アップルウォッチのような製品や他のオンラインサービスで、業態の多様化を目指してきた。こうした新製品・サービスは急成長しているものの、利益の規模で言えば、iPhoneの圧倒的な存在感には遠く及ばない。

今後について楽観材料を投資家に提供するため、同社は大規模な企業買収を近く実施するのではと、信頼される情報筋が予測し始めている。


(英語記事 Apple blames China as it cuts forecast

提供元:https://www.bbc.com/japanese/46743732

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