立花聡の「世界ビジネス見聞録」

2019年1月7日

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立花 聡 (たちばな・さとし)

エリス・コンサルティング代表・法学博士

1964年生まれ。早稲田大学理工学部卒。LIXIL(当時トステム)東京本社勤務を経て、英ロイター通信社に入社。1994年から6年間、ロイター中国・東アジア日系市場統括マネージャーとして、上海と香港に駐在。2000年ロイター退職後、エリス・コンサルティングを創設、代表兼首席コンサルタントを務め、現在に至る。法学博士、経営学修士(MBA)。早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。

 

遅れに遅れた引き渡し

 2017年12月末、いよいよ予定された引き渡しの時期がやってきた。そこで何と連絡がピタリと止まった。そして「引き渡しが遅れる」という一報が入る。最終的な内装工事が遅れているというのだ。まあ建物が一応できたので、大きな懸念はない。気長に待つしかない。

 待つこと4か月。2018年4月、ようやく引き渡しの通知がきた。さあ、いよいよだ。しかし、引き渡しの手続をしに現場へ行ってみると、ロビーはまだスケルトン状態だった。内装工事が終わっていない。入居できるような状態ではない。しかし担当者は怪しい笑顔で「ご購入されたユニットは完全に内装が終わったので、引き渡し手続だけは今やってしまいましょう」と勧めてくる。

 冗談じゃありません。一旦鍵を引き取って物件引き渡し確認書にサインしてしまったら、遅延損害請求権を放棄することにもなりかねない。絶対にサインしません。責任者を呼び出して現状確認の覚書を作成し、その場でサインしてもらう。「建物全体は居住できる状態ではないため、デベロッパーの責任によって引き渡しが遅延になっている」という内容の覚書だった。さらに引き渡し予定日は5月中旬ということも書き添えてもらった。

 5月中旬、案の定、やはり引き渡しができない。工事は完全に終わったが、政府からの引き渡し許可がまだ降りていなかった。「政府発行の公式文書がないと、引き渡しのサインはできない」と私が主張し、再度遅延状態確認の文書を送り付ける。こういった往来文書は後日の遅延損害請求のエビデンスになるので、面倒でも都度確保する必要があったのだ。

 7月31日、予定より6か月以上遅れてようやく物件引き渡しの正式手続が行われた。11月、デベロッパーから契約通りの遅延損害金が支払われた。これで売買取引は無事終了。こうして一部始終を見ると、かなり時間や労力などの取引コストがかかっていたことが分かる。不動産投資は決して不労所得ではない。

 引き渡し時の内部最終点検では、ベランダのエアコン室外ユニットに若干の漏水、ドアスコープの取り付け漏れがあったこと以外は大きな問題がなく、予想通りの品質だった。欠陥部分は速やかに修繕してくれたので、概ね満足できる対応だった。

 2018年12月、めでたくも物件の賃貸契約が成約。日系企業の単身赴任の駐在員が入居してくれた。良かった。一件落着。

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