WEDGE REPORT

2019年2月5日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 8年前から農園での障がい者雇用をスタートし、いまでは千葉県や愛知県の13カ所の農園で、216社、計1211人の障がい者が働いている。障がい者を雇用する企業にとっての経費負担は、例えば重度障がい者1人、軽度障がい者2人を雇用した場合、月に支払う給料や利用料を含めて1人当たり月18万円になる。また障がい者仕様の養液栽培装置などの初期投資は約300万円になるが、リースにできて経費で落とせるので、企業が負担するのは、毎月3万円ほどで済むという。

 和田一紀社長は「ここで働く障がい者は月収約10万円になるそうで、就労機会のなかった障がい者や家族から大変喜ばれている。障がい者の新たな雇用創出の場として行政からの注目度も高く、全国各地から視察や誘致の話が来ている」と自信を示す。

障がい者の就労支援施設で
仕事をつくる

 次に、物流会社と提携してパソコンなどOA機器を全国から回収して、データを消去して中古機器として販売するアンカーネットワークサービス(東京都葛飾区、以下アンカー)という会社がある。

 碇隆司社長は食品機械の会社を経て、社会貢献活動をしたいという思いから、全国にある障がい者支援団体と協業して、10年前から障がい者の就労支援事業に乗り出している。いまでは全国にある16の就労支援事業所と連携し、延べ200人分の雇用を創出している。各事業所では10~20人単位で同社が法人から引き取ったパソコンの解体などの作業をしてもらっている。

ゴーグルを着用した社員は、持ち込まれたパソコンを電動工具を使って手慣れた早業で解体する(WEDGE)

 アンカーの場合、同社内でも5人雇用しているが、中心となっているのは就労支援事業所にパソコンなどを持ち込んで、障がい者が暮らしている近くの場所で作業してもらうやり方だ。

 自社内で働いてもらうよりは、この方法の方が多くの障がい者と仕事がつながり、障がい者にとっても慣れた場所で仕事ができることから、この形態を採用している。碇社長は「この支援方法を全国に広げ、障がい者により多くの働ける場を提供したい」と意欲的だ。

 障がい者に働いてもらう上で気を付ける点について、同社の神谷いずみ執行役員は「障がい者個人の力量に合った質と量の仕事をしてもらっている。いつもと違う点があれば早めに声を掛ける。定期的な面談を行うことなどを心掛けている」と話す。

 千葉県柏市にある障がい者就労支援施設のユニバースでは、毎日20人ほどの障がい者がパソコンの解体などの仕事を黙々とこなしていた。障がい者の適性に合わせた仕事の割り振りが行われ、月収は仕事内容にもよるが、7万~10万円になるそうで、就労支援施設の中では高い方だ。

 アンカーでは、今後は発達障がい者の就労支援にも力を入れる方針だ。昨年10月からハッピーテラス(東京都港区)が運営するディーキャリアのフランチャイズとして就労移行支援事業に参入した。東京都江戸川区にオフィスを開設し、主に大人の発達障がい者向けの就労サポートを行い、都内を中心にさらにオフィスを拡大する計画だ。

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