2024年4月24日(水)

Washington Files

2019年1月21日

偽証を大統領の直接指示で行った

 さらにトランプ大統領の「司法妨害」問題については、今月に入り、より深刻な疑惑が浮上してきた。

 去る17日、アメリカのインターネット・メディア「BuzzFeed」が「二人の前連邦捜査官から得た情報」として報じたもので、それによると、2017年10月、ロシア疑惑問題を調査中だった上下両院情報特別委員会でマイケル・コーエン元大統領顧問弁護士が証言を求められた際に、モスクワの「トランプ・タワー」建設プロジェクトに関して、実際はロシア側との協議がトランプ大統領就任後の同年8月まで継続中だったにもかかわらず、「同年2月で計画は中止になった」との偽証を大統領の直接指示で行ったという。

 同報道についてモラー特別検察官のスポークスマンはただちに「報道内容は不正確」との異例のコメントを発表したものの、報道全体は否定しなかった。

 もし、伝えられる通り、大統領が部下に対し議会での偽証を指示したとすれば、合衆国憲法の根本にもかかわる重大な「司法妨害」に相当し、大統領弾劾は必至の情勢となりかねない。

 問題は、こうした注目の「モラー最終報告書」がかりに来月中にもまとまり、司法省に提出されたとして、果たしてどこまでそれが公表され、国民に知らされることになるかどうかだ。

 この点に関しては、トランプ・ホワイトハウスはすでに、内容のいかんにかかわらず、非公開にすべきとの判断を固めているといわれ、「モラー報告書」の司法省への提出を前提に、マスコミはもとより米議会に対しても、内容の共有を拒否するための法的理論武装にとりかかっている。そのためのベテラン弁護士たちからなる法律専門スタッフの陣営も従来の十数人から最近では30人以上ににわかに強化されているという。

 また、ウィリアム・バー次期司法長官は今月15日、米上院司法委員会での証言の中で、提出を受けた後の「モラー報告書」の扱い方について「いずれは米議会に通告することになるが、中身についてどこまで伝えるかについては、司法長官の裁量次第だ」と慎重な言い回しで明確な回答を避けた。

 場合によっては、最終報告書でかりに大統領に対する直接容疑への言及があったとしても、議会説明の段階で削除される可能性があることを示唆したものだ。その場合、野党民主党の反発は必至となり、最終的には「国民の知る権利」をめぐり議会と連邦政府との間で最高裁での法廷闘争にまでもつれ込むこともありうる。


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