立花聡の「世界ビジネス見聞録」

2019年1月27日

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立花 聡 (たちばな・さとし)

エリス・コンサルティング代表・法学博士

1964年生まれ。早稲田大学理工学部卒。LIXIL(当時トステム)東京本社勤務を経て、英ロイター通信社に入社。1994年から6年間、ロイター中国・東アジア日系市場統括マネージャーとして、上海と香港に駐在。2000年ロイター退職後、エリス・コンサルティングを創設、代表兼首席コンサルタントを務め、現在に至る。法学博士、経営学修士(MBA)。早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。

 

 ファーウェイの任正非CEOは1月18日付けで立て続けに、総裁弁電子メール006号と007号という2通のメールを全従業員に配信した――「苦しい時期に備え、凡庸な社員を解雇せよ」。穏やかではない。滅多に公式の場で姿を現さない任氏は最近自ら取材に応じたり、コメントを発表したり、派手に動き出している。ファーウェイはかなり追いつめられているようだ。

2019年1月15日、海外メディアの取材に応じる任正非・ファーウェイCEO(写真:AP/アフロ)

 中国系ウェブメディア「新浪財経」(http://finance.sina.com.cn/roll/2019-01-20/doc-ihqfskcn8783530.shtml)は1月20日付けで1万文字以上に及ぶ2通のメールを全文転載した。その抄訳(以下、太字で記載)を混ぜながら、話を展開したい。

ファーウェイは苦境に立たされている

 メール配信の前日にあたる1月17日、任氏は複数の中国系メディアの取材に応じ、こう語った――。

「われわれがいま直面する一連の困難は、十数年前にすでに予想した。これに備えて十何年も準備してきたわけだから、今になって慌ただしく対処する必要がない。これらの問題はわれわれに影響はあるが、大きな影響ではないし、重大な問題にもならない。…(中略)外部の変化はわれわれに大きな影響が及ばない。われわれは自信があるからだ。われわれの製品は他社よりも素晴らしい。顧客は買わざるを得ない。例を挙げると、5Gのこと。世界で5Gを作れる会社は少ない。ファーウェイの製品はベストだ」

 自信満々ではないか。ここまで言い切っているのだから、何の心配もいらないはずだ。「苦しい時期」がやってくるのはなぜだろう。いささか矛盾を感じずにいられない。

 いや、よく言われているように、中国のことだから、「問題がない」と言ったら、問題あり。「影響がない」と言ったら、影響があることであり、「大きな影響ではない」ときたら、重大かつ深刻な影響が及んでいる、と理解したほうが正確だろう。任氏の発言には何の矛盾もない。ファーウェイは大変な苦境に立たされているのだ。

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