立花聡の「世界ビジネス見聞録」

2019年1月27日

»著者プロフィール
著者
閉じる

立花 聡 (たちばな・さとし)

エリス・コンサルティング代表・法学博士

1964年生まれ。早稲田大学理工学部卒。LIXIL(当時トステム)東京本社勤務を経て、英ロイター通信社に入社。1994年から6年間、ロイター中国・東アジア日系市場統括マネージャーとして、上海と香港に駐在。2000年ロイター退職後、エリス・コンサルティングを創設、代表兼首席コンサルタントを務め、現在に至る。法学博士、経営学修士(MBA)。早稲田大学トランスナショナルHRM研究所招聘研究員。

 

ぶら下がり管理職のクビも切れ!

「会社の規模が大きくなれば、かならずぶら下がり組が出現する。このようなぶら下がり組が管理職になると、会社はどんどん硬直化する。なぜならば、硬直化すればするほど管理しやすいからだ」

 凡庸な従業員がリストラの対象となるだけではない。ぶら下がり管理職もクビ切りの対象だ。会社組織を硬直化させる元凶であるからだ。このくだりを読むと、日本企業のなかにも耳が痛くなるような管理職が続出する。

「ファーウェイを支えてきたのは、社内の開放性である。職位・等級も業績も、すべて公開する。なぜか? それは昇給するためだ。正しく昇給するためだ。プライバシーを公開したくない人は、降級になる。降級すれば、プライバシーは守られる。職位・等級が低いながらも、頑張っている人には、奉仕模範の称号を与えよう。ただし、われわれは市場経済だ。単なる奉仕者を必要としない。単なる奉仕者は思想倫理上の話であって、われわれの評価・考課システムはそこに価値を置かない」

 市場経済? 実に過酷な市場経済だ。日本社会は「努力」や「頑張ること」を善としているものの、ファーウェイのような中国企業は、成果を上げられない努力者を皮肉っぽく批判し、無情に切り捨てている。

労務すなわち財務

「この30年はわれわれは順風満帆だった。順調すぎたせいか、戦略的拡張の段階において、組織は悪性的に膨張してきた。…(中略)いまの苦境に直面し、全局観をもった組織のスリム化は欠かせない」

「『品質』とは何か? 成果の交付だけではなく、財務を中心とし、財務指標と財務的貢献を重視するものである。いま各地の拠点では多くのスローガンを挙げている。それはどうでもいい。肝心なのは財務だ。財務指標はどうなのか。全体的な貢献量より、1人当たりの貢献量をシビアに測るべきだろう」

 労務すなわち財務。多くの中国企業経営者は、そう捉えている。それは資本家の搾取本能といったらそこまでだが、実は終身雇用不在の中国社会では、労働者が企業に対しても財務的にしか捉えていないのだ。特に有能な人材ほど、個人に対する財務的評価と処遇を求めている。この辺は決して労使間のミスマッチが存在しているわけではない。むしろ、現実を正しく認識できていない日系企業に問題があるのだ。

関連記事

新着記事

»もっと見る