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2019年1月30日

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英政府と欧州連合(EU)の離脱協定をめぐり英下院(定数650)は29日夜、協定を再交渉するというテリーザ・メイ英首相の方針に賛同した。下院は北アイルランド国境の扱いについて、EUと政府の合意内容変更を求めている。一方でEU側は、協定の再交渉は受け入れないという従来の姿勢をあらためて強調した。

ブレグジット(イギリスのEU離脱)にあたり、EU加盟国のアイルランドと、イギリスの一部の北アイルランドの間の国境の扱いが、下院審議の焦点となった。厳格な国境検査を避けるための措置がブレグジット移行期間中に決まらなければ、北アイルランドはEU単一市場の一部ルールに従うという「バックストップ」措置に反対する多くの下院議員は、「代わりの取り決め」をEUと交渉するというメイ首相の方針を支持した。

下院は今月15日に政府とEUの離脱協定を歴史的大差で否決している。否決された最大の理由が、北アイルランド国境についてのバックストップ条項だった。

バックストップ再交渉の案は、与党・保守党のサー・グレアム・ブレイディー議員が提出したもので、下院採決に先立ち首相も賛同を表明。下院はこのブレイディー案を賛成317、反対301の16票差で可決した。

メイ首相は下院に対し、EU相手に「法的拘束力のある協定修正」を強い立場から要求できるよう自分に後ろ盾を与えるため、ブレイディー修正案を支持するよう呼びかけていた。

首相は今回の採決結果を踏まえ、EUと協議した後、2度目の「意味ある採決」のため修正離脱協定を「できるだけ早く」下院に提出すると述べた。

2月13日までに下院が新しい離脱協定に合意しない場合、首相は翌日にも下院で修正可能な動議を提出し、審議に臨む。

しかし、EU側は、離脱協定は再交渉しないというこれまでの態度を変えていない。

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この日の英下院は、政府とEUの離脱協定に対して複数の議員が提出した修正案を審議した。ブレイディー案のほかに可決されたのは、「合意なしブレグジット」は容認しないとするものだったが、この修正案採択に法的拘束力はなく、政府への働きかけに過ぎない。このため、ブレグジット期限は3月29日のままで変更はない。

最大野党・労働党のイヴェット・クーパー議員が提出した、政府案が議会を通過しない場合はブレグジットを年末まで延期するという修正案は否決された。

一方で労働党のジェレミー・コービン党首は、次の展開を協議するため首相と会談する用意があると述べた。コービン党首はこれまで、合意なしブレグジットの可能性を首相が排除しない限り、首相との協議には応じないという姿勢だった。

今回の下院採決後に欧州理事会のドナルド・トゥスク常任議長(大統領に相当)は、離脱協定は「再交渉の対象ではない」とこれまでの立場を繰り返し、協定は「イギリスが欧州連合から秩序立って離脱できるようにするための最善で唯一の方法」だと強調した。

その一方でトゥスク議長は、離脱協定と同時に合意した政治宣言についてはあらためて検討する用意があるほか、離脱期限を3月29日以降に延長するための「合理的な要請」は検討できると述べた。

イギリスとの国境が焦点となっているアイルランドの政府は、現在の離脱協定は「再交渉の対象ではない」と言明し、「秩序ある離脱を保証するには、現行の離脱協定を批准するのが最善の方法だ」と主張。バックストップ条項の変更は受け入れない姿勢を示した。

(英語記事 Brexit: MPs back May's bid to change deal

提供元:https://www.bbc.com/japanese/47051276

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