田部康喜のTV読本

2019年2月6日

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田部康喜 (たべ・こうき)

東日本国際大学客員教授

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

(belenox/iStock /Getty Images Plus)

 TBS・日曜劇場「グッドワイフ」は、冬ドラマに弁護士モノを各局が競演するなかで群を抜く作品である。東京地検特捜部長だった、蓮見壮一郎(唐沢寿明)は贈収賄事件の収賄罪の疑いで逮捕された。女性記者との不倫事件も加わって窮地に立っている。

妻役の常盤貴子の人間としての成長も描く

 妻の杏子(常盤貴子)は結婚と同時に弁護士を辞めて専業主婦となったが、夫の逮捕によって、家計を立て直すために、16年ぶりに復職することを決意する。自宅を売り払って、息子と娘と3人のマンション暮らしになる。司法修習所の同期生である多田征大(小泉孝太郎)の縁で、彼がパートナーを務める事務所で活動を開始する。正式の採用ではなく、本採用までは若手の朝飛光太郎(北村匠海)とたった一つのポストを争うことになる。

 夫・壮一郎(唐沢)は収賄容疑がでっち上げであることを確信している。留置場にあって、元部下の佐々木達也(遠藤賢一)と顧問弁護士の林幹夫(博多華丸)と協力しながら、事件の真実を追及しようとしている。

 ドラマは毎回、杏子(常盤)が取り組んでいる訴訟の行方を追いながら、壮一郎(唐沢)の事件が絡み合って進展している。久しぶりに弁護士となった杏子は、事件ごとに職業人としてばかりでなく人間として成長していくのである。

 「すべての物語はサスペンスである」といったのは、名監督のアルフレッド・ヒッチコックである。しかも、サスペンスの映像は、必ずしも観客に恐怖を直接的に感じさせるシーンの連続ではない、とも語っている。

 「グッドワイフ」の脚本を手がけている、篠崎絵里子は杏子をはじめとする多田(小泉)の事務所の弁護士たちに超人的な役割を求めずに、淡々とした事実の積み重ねによって勝利を杏子たちにもたらす。贈収賄事件の背後を探る壮一郎(唐沢)のセリフも短い。徐々に明らかになっていく事件の細部のそれぞれがピースとなって、クライマックスのでっち上げの真相つまり、彼の無実に向かって進んでいる。

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