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2019年2月20日

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フランス全土で19日、反ユダヤ主義的な行為に抗議する約70のデモが一斉に行なわれ、数千人が参加した。

デモ参加者は「ça suffit(もう十分だ)」をスローガンに掲げ、首都パリのレピュブリック広場を含む複数の都市で行進した。

フランソワ・オランド前仏大統領やニコラ・サルコジ元大統領を含む、政界の大物も複数参加した。

デモの数時間前には、東部アルザス・クアツェンハイムにあるユダヤ人墓地で、約100の墓石にナチス・ドイツを象徴するかぎ十字が落書きされているのが見つかった。

社会党のオリヴィエ・フォール第1書記は先週ツイッターで、19日にパリでの抗議デモへ参加するよう最初に呼びかけた。

抗議デモはその後、50以上の政治団体や連合、組合からの承認を受けて計画された。

これまでのところ公式発表はないが、パリと同様の抗議デモはマルセイユやボルドー、ナントを含む60都市で報告されている。

パリのデモ参加者フレデリック・オベール氏は「一連の出来事が、大勢にとって意外だっとは言い切れない」とBBCに語った。

別のデモ参加者のアラン氏は「なぜユダヤ人に対して怒っているのか、私にはよく分からない」と述べた。

なぜ抗議するのか

ここ数カ月、フランスでは立て続けに反ユダヤ主義的な攻撃が続き、注目を集めている。

この1週間の間には、ホロコーストの生還者で、国務大臣を務めた故シモーヌ・ヴェイユ氏の肖像画が傷つけられたほか、パリのパン屋ではドイツ語で「ユダヤ人」を意味する単語が落書きされているのが見つかった。また、反ユダヤ主義グループに拷問され死亡したユダヤ人の若者を追悼して植えられた木が切り倒された。

エマニュエル・マクロン仏大統領は19日、かぎ十字の落書きが見つかったユダヤ人墓地を訪れ、「このような真似をした人間は誰だろうと、フランス共和国にふさわしくなく、罰せられる」と述べた。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はビデオ声明で「衝撃的な」攻撃を非難し、反ユダヤ主義を「我々だけでなく全ての人々を危険にさらす伝染病」だと述べた。

フランス国内には約55万人規模の、ヨーロッパ最大のユダヤ人コミュニティがある。

先週発表された統計によると、フランス国内で起きる反ユダヤ主義的行為の数は、2017年の311件に比べ、2018年には74%増の541件に増えている。

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エドゥアール・フィリップ仏首相は19日、仏誌レキスプレスに対し、仏政府はソーシャルメディア上のヘイトスピーチ(憎悪表現)に取り組むために法改正を検討していると語った。

同誌のインタビューでフィリップ氏は、反ユダヤ主義は「フランス社会に深く根づいている」と述べた。

他国での反ユダヤ主義的行為

ユダヤ人団体もまた、ヨーロッパ全土での極右の台頭が反ユダヤ主義や他のマイノリティー(人種的少数派)への憎悪を助長していると警告している。

先週発表されたドイツの犯罪統計によると、反ユダヤ主義的な犯罪は過去1年間で10%増加している。これには、身体的攻撃の60%増も含まれる。

こうした攻撃は、極右やイスラム主義者のせいだとされている。

しかし、先月発表された欧州委員会による28カ国で行なわれた調査では、ユダヤ人コミュニティに属する人と、属さない人の認識の間にずれが生じていることが明らかになった。

この欧州委員会調査によると、ユダヤ人の89%が反ユダヤ主義は過去5年間で「著しく増加した」と答えた。一方で、同じ意見の非ユダヤ人はわずか36%にとどまっている。

(英語記事 France rallies after anti-Semitic attacks

提供元:https://www.bbc.com/japanese/47288922

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