今月の旅指南

2011年11月14日

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狩野直美 (かのう・なおみ)

東京生まれ。フリーライター。旅行業界誌の記者・編集者を経て、1994年からフリーランスに。主に海外旅行関連誌、ウェブマガジン等に記事を執筆中。

 聖武天皇の発願による創建以来、千二百数十年の歴史を持つ奈良・東大寺。今秋その敷地内に東大寺ミュージアムが開館した。東大寺の文化発信基地として建設された、東大寺総合文化センター内に開設したもので、オープンを記念した特別展「奈良時代の東大寺」が開催中だ。

国宝「不空羂索観音立像」乾漆造 奈良時代(8世紀) 撮影:奈良国立博物館

 展示のハイライトは、現在修復中の法華堂(三月堂)から移された本尊の「不空羂索(ふくうけんさく)観音立像」や、その脇侍の「日光菩薩立像」および「月光(がっこう)菩薩立像」。いずれも奈良時代に造られた国宝で、法華堂の内陣を模して設計された免震構造の展示室に安置されている。東大寺総合文化センターの森本公誠(こうせい)総長によると、「当初、ご本尊をミュージアムで公開するかは未定でした。ただ、信仰の対象として親しまれている仏様だけに、拝めない状態が続くのは申し訳ないことから、2年後に法華堂の修復工事が終わるまで、こちらに仮安置することとなりました。今回の展示は、ご本尊の力あふれるお姿を、より間近でご覧いただけるよい機会です」。

 天平(729~749年)彫刻の傑作といわれる本尊の不空羂索観音立像は、宝冠や持ち物をはずした形での展示となる。宝冠類は修理を終えた後に別途ケースに入れて公開する計画もある。

 ミュージアムでは、このほかにもこれまで展示施設がなかったことから一般公開できなかった宝物など、国宝17件、および重要文化財17件を含む、全60件を順次展示していく。

 「東大寺というと大仏様というのが一般的なイメージだと思います。裏を返せば、それ以外はよく知られていないのではないでしょうか。ミュージアムには東大寺所蔵の宝物が展示されますが、どうしてそれが造られたのか、どうしてそのような姿なのか、その背景を知ることで、より知識を深めていただけると考えています」

 長い時を経て今に伝わる宝物を通して、東大寺創建の時代を感じてみるのも鑑賞の楽しみだ。

東大寺ミュージアム開館記念特別展「奈良時代の東大寺」
<開催日>2011年10月10日~2013年1月14日
<会場>奈良市水門町・東大寺ミュージアム(大和路線奈良駅からバス)
<問>東大寺 0742(22)5511
http://www.todaiji.or.jp/

◆ 「ひととき」2011年11月号より


 

 

 

     

 
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