WEDGE REPORT

2019年2月25日

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朴承珉 (パク・スンミン)

在韓ジャーナリスト

在ソウルジャーナリスト。時事通信ソウル支局記者を経て、「文藝春秋」「週刊文春」のソウル特派員。長年、北朝鮮問題をウオッチ。平壌や開城工業団地、板門店、金剛山など7回以上北朝鮮入りして取材。日韓メディアに寄稿している。

トランプ大統領に対する"適合型(テーラーメード)外交政策"

 「(北朝鮮は)トランプ任期内には寧辺核施設を検証し、廃棄できないことは承知している」と述べた。また、北朝鮮はすでに核兵器を製造できる核物質を十分に生産していたため、過去の核である寧辺の核施設を廃棄するという話は、すでに廃棄された自動車をペンキ塗りして、米国に売り飛ばすものと相違ない。いま、北朝鮮の外交は、トランプ大統領に照準を合わせ、トランプ大統領に対する"適合型(テーラーメード)外交政策"に進んでいる、と説明した。

 北朝鮮が果たして核を放棄するかどうかについて「北朝鮮にとって核兵器は北朝鮮が持っているすべてのものの集約体だと言える。核兵器は、体制を結束させる求心の役割、韓国との体制対決で、北朝鮮が劣勢に置かれている状況を正当化できる説得力のある論拠になるだろう」と、述べた。また「北朝鮮は数兆ドルを与えられても、金正恩体制が存在する限り核兵器を絶対にあきらめない」と見通した。

 さらに、金正恩がハノイで実際に狙うのは、中国からの制裁解除だ。金正恩は、開城工業団地と金鋼山観光再開を突破口として、数十億ドルの中国との貿易関係を正常化させようとしている。(国連など国際社会が)石炭のような主要輸出物資を塞いでいるため、北朝鮮の基幹企業と軍隊、大きな企業が危機状況に追い込まれている。制裁が続けば北朝鮮の基幹企業(公企業)は死んでいき、逆に個人が運営する私企業と資本主義的な要素はさらに活性化する現象が生じるだろう、とし、北朝鮮に対する経済制裁は続けるべき必要性を強調した。

 太氏は、米国が北朝鮮の完全な非核化よりは、米国まで飛ばされる大陸間弾道ミサイル(ICBM)を廃棄するのにとどまるのではないかという懸念を意識したのか、「米国は北朝鮮がICBMをどれだけ持っているのか正確な情報がない。北朝鮮はICBMの一部を廃棄する振りを見せるだろう。北朝鮮はICBMをすべて廃棄し、米国に対する北朝鮮の危険がなくなるというショーをしようというロードマップを用意した」とし、ICBMの廃棄についても懐疑的に展望した。

 金正恩委員長が、今回のベトナム米朝首脳会談で、望むことが得られなかった時、その次の手は何か、という問いに太氏は、「それは核の伝播」(核技術の移転だ)と断言した。「核技術を買うという購入者がいるのに、この道に進むしかないと米国に脅迫するだろう」と言った。北朝鮮はすでにこのような脅迫を数十回も使った。以前、自分がスウェーデンでの会談に参加した際、イスラエルが北朝鮮に10億ドルを与えなければ、北朝鮮の核技術を中東国家に輸出できると米国に脅迫した事実があると証言した。

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