海野素央の Love Trumps Hate

2019年2月26日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

ベトナムに向かうトランプ大統領(AP/AFLO)

 今回のテーマは、「2回目の米朝首脳会談の行方」です。2回目の米朝首脳会談が明日に迫る中、ドナルド・トランプ米大統領が直面している国内問題が、首脳会談に影響を及ぼす可能性が出てきました。北朝鮮にはそこにつけ込み、交渉を有利に進めていく思惑がみえます。本稿では、トランプ大統領が置かれた状況から、会談の行方を探ってみます。

譲歩せざるを得ないトランプ

 シンガポールでの1回目の米朝首脳会談終了後、トランプ大統領は「北朝鮮の核の脅威はもはや存在しない」と自身のツイッターに投稿しました。しかし、マイク・ポンぺオ国務長官は2月24日に放送された米CNNテレビでのインタビューで、2回目の米朝首脳会談後も「北朝鮮の核の脅威は残る」と本音を吐きました。明らかに2人の見解は矛盾しています。

 トランプ大統領は同日、「金正恩朝鮮労働党委員長は核を放棄すれば、北朝鮮が早く経済大国になることをおそらく誰よりも認識している。地理的位置や国民と彼(金氏)のおかげで、他国よりも急速な経済成長の潜在能力がある!」とつぶやきました。同大統領は、北朝鮮の経済的繁栄の青写真を描いてツイートしたのでしょう。しかしこの投稿は、昨年の6月から北朝鮮の非核化が一向に進展していないことを自ら認める形になりました。

 トランプ大統領は非核化を前進させるために、「1対1」の直接対話で何らかの譲歩をせざるを得ません。以前触れましたが、この首脳会談でノーベル平和賞受賞を確実にするための成果を出したいと本気で考えているトランプ大統領は、朝鮮戦争の終結宣言のカードを切る可能性があります。朝鮮半島に緊張緩和をもたらした初の米大統領として、歴史に名を刻み、ノーベル平和賞を受賞したい思惑があるからです。

トランプ大統領にとって都合のいいことに、金委員長も終結宣言を強く望んでおり、宣言は2人の「共通の利益」になっています。

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