Washington Files

2019年3月4日

»著者プロフィール
著者
閉じる

斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。近著に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

(iStock.com/flySnow/Purestock)

 憲法無視の「国家非常事態宣言」、独裁国家北朝鮮最高指導者との“相思相愛”関係、執拗な西側同盟諸国批判、後を絶たないセックス・スキャンダル、底深いロシア疑惑……就任以来2年以上が経過し、国内のみならず世界中を振り回し続けるトランプ大統領。だが、今やそうした「非常識」を当たり前のことのように受け止める空気が広がり始めている。「常識化したトランプ主義(Trumpism)」と言えよう。

3月1日、 Conservative Political Action Conferenceに出席したトランプ大統領(AP/AFLO)

 米下院本会議は先月26日、メキシコ国境の壁建設予算ねん出を目的としてトランプ大統領が先に宣言した「国家非常事態宣言」について「議会の意思を無視する憲法違反行為」だとして、これを否認する異例の決議案を賛成245、反対182の大差で採択した。しかし、大半の与党共和党議員は反対に回った。

 大統領の宣言した「国家非常事態」が否定されるのは、1976年「国家非常事態法」
(NEA)成立以来、初めてであり、上院も数週間中に、同様趣旨の決案審議を予定しているものの、ここでも共和党議員のほとんどが民主党と袂を分かつとみられている。

 翌27日には、マイケル・コーエン元大統領顧問弁護士が、同じ下院監視・改革委員会に喚問され、トランプ氏のセックス・スキャンダルもみ消し事件、ロシアとの疑惑のビジネス取引、税務処理などについて初めて衝撃的な証言を行ったほか、かつての上司だった大統領に対し公然と批判を浴びせた。

 同日、太平洋をまたいだベトナムの首都ハノイでは、トランプ大統領と金正恩北朝鮮労働党委員長との2回目の首脳会談が、当初は和気あいあいとした雰囲気の中で始まった。しかし翌日には、対北朝鮮経済制裁の全面解除をめぐり双方の折り合いがつかず、何の成果も挙げられないまま物別れに終わった。

 過去数日のうちに伝えられたこうした一連の出来事はいずれも、トランプ氏が主人公であり、アメリカの主要メディアも、めまぐるしい情勢展開に振り回され続けている。

 その一方で、就任前からの型破りの言動、常識外れの内外政策推進、気ままなツイーター偏重の政治スタイルなどに象徴される「トランピズム」について、すべてを自然のなりゆきのように受け止める冷めた空気が広がっている。

 その象徴が、共和党主流派の反応だ。直近の動きを改めて振り返ってみよう。

関連記事

新着記事

»もっと見る