赤坂英一の野球丸

2019年3月13日

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 広島東洋カープの〝チケットバブル〟はいったいいつまで続くのか。毎年、マツダスタジアムでカープ戦の入場券が発売される時期になるたび、球団、地元メディア、カープOBとの間で、「この異常事態は早う何とかせんといけん」「いや、そのうちこんな大騒ぎは静まるはずじゃ」という話になる。が、現実には年々入場券の人気が高騰し、ネットでの不正転売も後を絶たず、チケットを買えないファンが怒りを募らせているのが実情だ。

(JuliarStudio/Gettyimages)

 先月25日、マツダスタジアムの窓口でチケット購入のための抽選券が配布されたときの騒動は、地元のみならず全国のマスコミにも大きく報じられた。約5万人のファンが球場窓口からJR広島駅まで約1㎞もの長蛇の列をなし、踏切の中に人が溢れ出す異常事態に発展。JR西日本、広島県警から球団に対して抗議と指導が入り、約1万人を残して抽選券の配布を打ち切らざるを得なくなった。

 球団では事前に抽選券は来場者全員に配布する、つまり窓口に並べば誰にでもチケットが当たるチャンスがある、とアナウンスしていたため、抽選券をもらえなかったファンが「話が違う!」と激怒。対応に出た球団職員に「納得できん!」「わしらにも抽選券を寄越せ!」などと声を荒らげて詰め寄り、その動画がSNSでばらまかれる騒ぎになった。

 ひとりでも多くのファンにチケットが行き渡るよう、球団もそれなりの努力はしている。公式ファンクラブ会員には先着順制、抽選制による先行販売を実施。会員でないファンもイープラス(e+)、チケットぴあ、ローソンチケットなど、ネットやコンビニの端末でもチケットを買えるようになっている。

 ところが、広島市内では販売の開始当日、このコンビニの端末にも行列ができるほど。その上、「何度やっても全然つながらん」と多くのファンは嘆く。端末やスマホを目の前にして待ち構え、販売開始時刻と同時にアクセスしても、大勢のファンが一斉に殺到するものだから、画面に出てくるのは回線が混雑しているからしばらくしてやり直すように、という表示ばかり。先月25日、球場前で職員にかみついたファンも、そういう鬱憤のたまる経験をした人たちが多かったようだ。

 これほど入場券の購入が困難になっている背景には、「転売ヤー」と呼ばれるネット上の転売を目的とした〝業者〟の存在がある。そもそも、カープが球場窓口での販売方式を昨年までの先着順制から抽選制に変更したのも、この転売業者をできるだけ排除するためだった。昨年までは販売日の何日も前(一説には1カ月近くも前)から窓口の前にテントを張って順番を確保し、いざチケットが売り出されると、数百万円もの札束を出して数百枚も買い占める大量購入者が現実にいた。

 これは怪しい、問題だからと地元マスコミの記者が取材にきて、「何のためにそんなにたくさん買うんですか」と質問しても、こういう購入者は「うちは親戚が多いものだから」などとシレッと答えて平気な顔をしているという。そう言われたら、購入者が転売業者だという証拠がない以上、うっかり〝悪者〟のように報道するわけにもいかない

 球団では試合数に関しては1人5試合までと制限している半面、枚数については上限を設定していない。これは地域の子供会や少年野球チームのための配慮なのだが、転売ヤーはそういうルールにつけこんで大量購入しているのである。今年も、今月1、2日に抽選の当選者に対してチケットが販売されると、その直後にはネットの転売サイトに入場券が出品された。こんなあこぎな〝商売〟が成立している限り、カープ戦チケットの大量購入者は来年もまた球場窓口に現れるだろう。

 そうした転売ヤーはカープ戦やプロ野球に限らず、様々なスポーツイベント、芸能人のコンサートや舞台公演にも手を広げていると見られる。とりわけ人気アイドルのイベントのチケットは高値で転売されており、ジャニーズ事務所のタレントともなると、2枚1組50万円の値がつけられたケースまであった。

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