2024年4月20日(土)

サムライ弁護士の一刀両断

2019年3月8日

ゴーン事件は日本の刑事司法に風穴を開けるか

 以前の記事『ゴーン事件にみる日本の刑事手続のありかた』にも述べましたが、日本の刑事手続は「人質司法」と揶揄されるように、身柄拘束が事実上の原則となっている状況です。

 逮捕されてから裁判が終わるまで身柄を拘束され、場合によっては家族との面会すら禁止された状態で取り調べを受け、さらに否認しているとなると起訴後の保釈も難しいという状況は、逮捕された瞬間に有罪扱いされているのとあまり変わりません。

 また現実問題としても、被告人の身柄拘束が長期化した場合、その間収入を得ることもできず、社会復帰にも大きな支障が生じかねません。

 本件に対しては、「異例」という日本国内の受け止めかたと、「108日間も身柄拘束された」という海外の受け止め方にずいぶん温度差があるように感じますが、諸外国から日本が司法制度の面で前時代的だと受け止められるのは、対外ビジネスやインバウンドの促進、外交などの面でも好ましくないと考えます。

 そのような面から、保釈が被告人の権利であるという原則にいま一度立ち返る必要があるでしょう。

 今回の件が、日本の刑事司法のあり方に風穴を開けてくれるのを期待しています。

  
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